1月から4月1日までに生まれた、いわゆる「早生まれ」の子供たちは、特にスポーツ面で不利だといわれてきた。だが、周囲の「早生まれは不利」という考えが、子供の可能性を摘んでしまう傾向は、教育面でもいえる。
これについては、一橋大学大学院経済学研究科・川口大司教授(労働経済学)の『小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響』のレポートに詳しい。
総務省の就業構造基本調査(2002年)の100万人のデータを基にして、25~60歳の男女を対象に分析したところ、最終学歴(平均教育年数)は、3月生まれが4月生まれより、男性で0.2年、女性で0.1年短いという結果が出たという。川口教授が語る。
「早生まれの子供は、小学校入学の時点で、4月生まれの子供に比べて幼いため、学習や社会的な活動といった側面で不利になるという可能性が指摘されています。
実際に同じ学年に所属する児童の中で、月齢の高い者よりもテストの成績が悪いといった結果は、世界中の研究者がほぼ一貫して報告していることです。
実は中高一貫校では“4月生まれの生徒の数が3月生まれの倍だった”という例も多く確認されています。これは小学6年時に横並びで試験を行なうためです。
小学校入試では誕生月で差をつけるケースがあるが、私はこれを中学入試にも適用し、早生まれの者が不利にならないような配慮が必要であると思います」
また、周囲の教員にも責任があると川口教授は語る。
「教員などが早生まれの子供に対し、早い時期に“あなたはできない子だ”という烙印を押すケースが多いが、教育現場ではこうした決めつけをしないように注意する必要がある。
早生まれであることの不利は、学年が上がるに従ってなくなっていくことも確認されています」
※週刊ポスト2014年1月31日号