中国では、この時期、3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)や中国人民政治協商会議(政協)を前に、地方でも議会が開かれているが、江蘇省では省人代や省政協の委員らに振る舞われる昼食が、肉まんと肉野菜煮込みの2品だけという質素なものだったことに注目が集まっている。
折から習近平主席が贅沢禁止令を出していることもあるのだが、実はこの質素メニューは習氏が昨年末、庶民が利用する北京市内の町の食堂で頼んだものと同じ“主席メニュー”なのだ。習氏のパフォーマンスを逆手にとって、「主席の方針に従いますよ」という浙江省の委員らによる“逆パフォーマンス”といえ、ネットからは「あまりにも見え見えのゴマスリ」との声も出ている。
当サイトでも報じたが、習氏は昨年末、北京市内の肉まんチェーン店「慶豊包子舗」を訪問し、一人で列に並んで、饅頭(マントウ)と呼ばれる中国の蒸しパン6個と、砂肝と野菜炒めをそれぞれ一皿注文。護衛のSPや側近は近くにいたのだろうが、習氏は自ら代金を払い、トレイでテーブルまで運び、一般客と一緒に食べたのだ。総額わずか21元(約360円)。
江蘇省では、その“主席定食”を真似して、肉まんも習氏が訪問した慶豊包子舗のレシピを取り寄せて、作ったという。ただ、習氏のぜいたく禁止令を考慮して、「浪費しないため」に、習主席が食べたものよりワンサイズ小さめだという。
これについて、北京の慶豊包子舗の朱玉レイ社長は「知的所有権の侵害に当たるかもしれないが、それだけ喜んでくれれば嬉しい。北京に来たときには、是非、店に来て本物を食べていってほしい」と話している。
同店は習氏が訪れたことが大々的に報じられ、評判になり、客は通常の10倍にも達しており、最も売れている商品は新たに追加した「主席定食」だという。まさに習近平さまさまの様子だ。
「習主席が次に来たら、豪華定食で、ただにしますよ」と同社長は語っているというほど。北京市民からは「主席は庶民的」と人気も高まっており、日ごろさえない表情をしていることが多い習氏にとって、思いがけない想定外の久々に嬉しいニュースといったところだろう。