4月に迫る消費税率8%への引き上げ。人生で最も大きな買い物といえばマイホームであるが、当然、消費増税の影響も大きくなるため、「駆け込み需要」が多く発生している。
新規住宅については、昨年9月末までに契約すれば、増税後の4月以降の引き渡しとなっても現行税率が適用される特例があったため、増税決定直後から購入者が急増していた。
9月の期限はとうに過ぎてしまっており、今から申し込んでも間に合わない。しかし嘆く必要はない。実は「買わないほうが正解」かもしれないのだ。住宅ジャーナリストの山下和之氏はこう語る。
「増税後には軽減措置として、住宅ローン減税の延長・拡充と、『すまい給付金』の給付が受けられます。それらを増税分と相殺した場合、増税後に購入したほうが得する人も少なくありません」
みずほ総合研究所の試算によれば、4月以降に年収400万円の人が2400万円の住宅(土地は非課税、課税対象の建物価格1530万円)を購入した場合、増税による負担増は46万円になる。
しかし住宅ローン減税と給付金は55万円となる。差し引きすると「増税後の方が9万円得」になるというのだ。
また、住宅ローン減税は高額納税者に対して恩恵があるため、年収800万円以上の人が同様の住宅を買った場合では、52万円も得になる。
ただし例外もある。一部の層(年収500万~600万円)では、増税後の方が、負担が大きくなるケースも出てくるのだ。
「自分の年収やローン利用額と軽減措置の恩恵を、正確に試算する必要がある。とにかく増税前に買っておけば得というものではありません」(山下氏)
もともと住宅は一生の買い物で、慎重に見極めるべきものである。自分にピッタリの物件であれば増税前に駆け込んでもいいだろうが、少しでも迷いがあるならば、待った方が賢明といえそうだ。
※週刊ポスト2014年2月7日号