静岡県浜松市の小学校での1000人超に続いて、1月24日には広島県広島市の中学校でも300人を超える集団感染が起きた「ノロウイルス」。
1~2月をピークに流行し、激しい嘔吐や下痢の症状が出るノロウイルスは、非常に感染力が強く、カーペットに付着したウイルスが2週間近く経ってから感染した事例も報告されている。
今まさに感染が拡大しているノロの予防法を、東京医科大学教授・松本哲哉さんと、順天堂大学准教授・菊池賢さんに聞いた。
――ノロウイルスの感染ルートは?
「感染経路は大きく分けて2つあります。ひとつは、ウイルスに汚染された食品を食べた場合。もうひとつは、感染者が汚染させた環境(トイレやドアノブなど)に触れ、その手を介してウイルスが口に入る場合です」(松本さん)
食材の処理には85℃以上で1分以上の加熱を。手を介した感染には、石けんを使って30秒以上、手のひらだけでなく手首まで、念入りな手洗いが重要だ。
――感染予防にマスクは効果があるの?
「映画館や電車内など人が多い場所では、マスク着用には一定の効果が期待できます。例えば、ウイルスに感染していて、直前に嘔吐をしたような人と隣り合った場合、口の周りから飛散したウイルスを吸い込んで感染することは充分考えられますから」(菊池さん)
ウイルスのついた手が口に無意識のうちに触れるのを防ぐ意味でも、マスクは効果的だ。
――もしも感染してしまったら?
「ノロウイルスに特効薬はありません。おとなしく安静にして寝ていることしか対処法はないですね。下痢止めの薬を服用すると、腸の働きが止まりウイルスの排泄が遅れてしまうので逆効果です。嘔吐や下痢が続くと脱水症状に陥る危険性もあるので、水分補給を必ず意識してください」(松本さん)
それもできないほど激しい吐き気がある場合は、病院で点滴を。
――アルコール消毒は通用しないの?
「ノロウイルスは構造的に、アルコールでは殺菌できません。塩素系の消毒液が有効です。トイレの便座を拭いたり、吐瀉物で汚れてしまった衣類などの消毒にも使えます」(菊池さん)
塩素系の消毒液は、ドラッグストアやホームセンターでも購入できる。ドラッグストアの店員によると、ノロウイルス集団感染がニュースになってから買い求める人が増えたという。
ただし、塩素系の消毒液は皮膚には刺激が強すぎるため、肌荒れの原因になり、手洗いなどには向かない。便座やドアノブなどの消毒に使うこと。 こまめな消毒を心がけて、ノロウイルスの感染を防ごう。
※女性セブン2014年2月13日号