香港の大富豪で、大手不動産デベロッパー、卓能集団会長のセシル・チャオ(趙世曾)氏が1月下旬、「レズビアンの長女と結婚すれば、その相手の男性に1億3000万ドル(約130億円)を提供する」と発言し、大きな話題を呼んでいる。しかし、渦中の長女は「金に目がくらんだ男など、まったく魅力を感じない」とけんもほろろなのだ。
実は、チャオ氏が長女、ジジ・チャオ(趙式芝)さんとの「結婚支度金」について発言したのは、今回が2回目。前回は一昨年9月で、最初は6500万ドル(約65億円)と豪邸のセットだった。「われこそは」と名乗り出た男性は世界中から2万人あまりいたというが、ジジさんのハートを射止めた男性は皆無だった。それならばとばかり、チャオ氏は今回、金額を倍増したのだ。
なぜ、チャオ氏がこの法外な支度金を発表したのか。それは、ジジさんがレズビアンであることと密接な関係がある。彼女は一昨年4月、フランスで香港人女性の恋人と結婚した。
ジジさんはこの結婚について、同性愛について否定的な香港社会に対し、少しでも理解を求められるよう「先例を作りたかった」と発言。さらに、「多くの人が支持表明してくれたのがうれしい」と述べて、同性愛の結婚について後悔はしていないと強調した。
しかし、これに驚いたのが父親のチャオ氏だ。「娘はまだ33歳で、まだ、やり直しのきく年齢だ。彼女が男性と結婚して、生んでくれた子どもを事業の跡取りにしたい」と発言し、ジジさんが気に入る男性が現れたら、6500万ドルの支度金を払うと発表。さらに、今回で額を倍増したというわけだ。
ジジさんはこの騒動について、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」と単独会見し、「まず、支度金というのに抵抗がある。お金で私を売るようなものだ。インドでは女性に支度金を付けて嫁に出すという制度があるようだが、これは人権問題だ。このような前時代的な、後れたしきたりは受け入れられない」とバッサリ。
さらに、ジジさんは「父が私のことを愛してくれていることは分かるが、父はレズビアンの世界についてまったく無知で、理解しようとしない。それに、私は金に目がくらんだ男に魅力を感じるほどバカではない」と極めて否定的だ。
香港ではチャオ氏について、「金がすべてを解決するという典型的な考え方をする人物だ」との批判的な見方もあると同紙は報じている。