中国の内政状況は、一段と混沌の度合いを高めてきている。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が指摘する。
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習近平体制になって以降の大きな特徴は何といっても汚職取り締まりの厳しさだ。そして、その最前線にいるのが全国8000万人党員の規律を取り締まる中央規律検査委員会である。
今年1月、中央規律検査委員会と観察部は2013年の中国における汚職取り締まりの概要を公表した。それによると、同組織に寄せられた情報提供(密告)件数は、のべ195万件に達し、そのうち122万件が告発、約17万件が立件となった。
事件に絡んで処分された党員は、18万2038人だったが、このうち中央規律検査委員会及び観察部が直接処理に当たった中級以上の幹部は31人となった。また全国で起きた4件の重大事故の原因究明調査にも参加し、党員94人を調査し、結果として大臣クラスの幹部を3人、局長クラスを14人、課長クラス21人を処分したと発表している。このうち46人を司法機関へと送致し、刑事事件として処理を待っているという。
年間18万人の党員が処分されているというのも驚くべきことだが、中央規律検査委員会の組織強化は、2017年まで順次進められてゆくとされている。
だが、現在の中国で関心がもたれているのは、2012年9月の反日デモの際の公安責任者であり、反日デモを煽ったともいわれる周永康元党中央政治局常務委員が、昨年暮れから消息を絶っている一件である。
周委員は、数々のスキャンダルによって政治的に失脚した薄煕来共産党政治局委員と緊密であったとされ、汚職問題で追及されているとの見方もある。
周委員の動静が判明するのは、現在の中国では「全国人民代表大会の前後」(党中央関係者)という見方が広がりつつある。もしそうなれば、今年の3月から中国の内政は大きく荒れることになりそうだ。