ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、歌謡曲に潜む「女心」についてひと言モノ申す。
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昭和歌謡といえば、石川ひとみさんの『まちぶせ』の衝撃は、今もはっきりと覚えています。蜘蛛の巣を張って虎視眈々と獲物を狙うしたたかな女の描写と、ひとみさんのかわいらしい外見とのギャップに、心の底からタマゲたもの。
あの歌詞は、荒井由実時代のユーミンさんよね。「大人しそうに見える女のコほど、要注意」という永遠の教訓をここから学びました。
そうそう。あみんの『待つわ』を聴いた、知り合いの小学3年生の坊やは、「なんて、しゅうねんぶかい、おんななんだ!」と呟いたそう。こうやって坊やたちも、じっとりした女の恐ろしい策略を学んでいくのね(しみじみ)。
でも、「待つわ」的な生き方って、大人のやり方というか、怪我しない生き方よね。メス虎が獲物を狙うときのように、ひっそりと物陰に隠れて「棚ぼた」がいただけたらラッキーというのは、肉食動物の狩りの基本だもの。
まぁ、私に言わせれば、「自分は何にもしないで、不幸ぶってんじゃないわよ」って歌でもありますけど。
世のオバさまがたを拝見していると、とにかく太く(身も心も)しぶとく、たくましく昭和という時代を生き抜いたオンナって感じがします。「今はツラく悲しくとも、いつか花咲くときが来る」って、皆さん、根拠のない自信を持っているところも素敵です。
この、「転んでもただでは起きない」的な生き方って、絶対に武器になるもの。オバさんはもっともっと昭和歌謡を歌って踊って「女の道」を極めるべきなんです。
反対に、最近の流行歌の底抜けな明るさといったらありません!『恋するフォーチュンクッキー』(AKB48)はたいしてかわいくない地味な女のコが、“いつか彼も振り向いてくれるかも”って。おめでたいことに自分に自信はないけどイエ~! なうえにヘイ! なのよ。
いくらお若いとはいえ、ここまでノー天気な今どきの女のコたちに、オバさまがたが負けるはずないわ。容姿では太刀打ちできなくても、根性で勝てる気がする。
ねぇ、昔好きだった昭和の名曲をカセットテープ引っぱりだして、もう一度、聴いてみたら? 子供の頃はわからなかった人生のヒントがいっぱい見つかるはず。
オバさん、万歳!
※女性セブン2014年2月13日号