今回のソチ五輪から正式種目となったとはいえ、女子ジャンプは、世界的にまだまだマイナーな競技だ。ところが、その世界に一人の天才少女・高梨沙羅が現れ、我が国では異様な盛り上がりを見せ始めている。W杯の札幌大会、蔵王大会で共に表彰台に上ったドイツのカリーナ・フォクトも、「ドイツに比べて、観客の数もメディアの数も日本の方がはるかに多い」とビックリしていた。
日本で行なわれたW杯4戦では、ほとんどの試合で5000人を超える観衆が会場へ詰めかけた。大げさでなく、そのほとんどが彼女見たさに集まったといっても過言ではないだろう。
すべてのファンが期待するのは、ソチ五輪での金メダル。彼女と同じ北海道・上川町出身の長野五輪金メダリスト原田雅彦氏も「沙羅ちゃんの金メダルの可能性? 100%だよ。あのジャンプ見たでしょ? 500%でもいいな。間違いない」と楽観している。唯一の死角を挙げるとすれば、その期待が重圧に変わったときだろう。高梨本人は、こう語る。
「期待してくれるというのは、どうでもいいというのではなく、どこかで気にしてくれていること。応援してくれていることだと思うのですごく嬉しいです。プラスにとらえています。だから、五輪では感謝の気持ちをこめて飛びたいです」
取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2014年2月14日号