スターバックスやタリーズといったシアトル系カフェの台頭や、コンビニエンスストアのいれたてコーヒーなどに押されて苦戦続きの缶コーヒー。
市場調査会社の富士経済によれば、缶コーヒーの市場規模は7390億円(2013年予測)。飲料メーカー各社の集計では、ここ数年は縮小傾向が続き、2013年も対前年比でマイナス2%となる見込みだ、
だが、市場の落ち込みが止まらない中、トップブランド同士のシェア争いは一転、激しさを増している。
首位をかろうじて死守する『ジョージア』(日本コカ・コーラ)に対し、2位の『BOSS(ボス)』(サントリー食品インターナショナル)が猛追するといった勢力図である。
月刊誌『飲料ビジネス』を発行する飲料総研取締役の宮下和浩氏がいう。
「2000年の売り上げ比を見ると、100(ジョージア):33(ボス)と大きな開きがあった両ブランドですが、2013年は100:73とボスの追い上げが凄まじい。昨年、缶コーヒーで伸びたブランドもボスだけですし、首都圏では自動販売機の売り上げを除けば、ボスがジョージアを逆転してトップに立っている模様です」
ボスだけが躍進しているのはなぜか。宮下氏は「幅広い商品群でブランドイメージが高まっている」と話し、こう続ける。
「ボスブランドの四天王と呼ばれる<レインボーマウンテン・贅沢微糖・BLACK・カフェオレ>の売り上げを確実に伸ばしながら、毎年新シリーズを出すサイクルでブランド力を高めています。
今年に入ってからも、トクホ(特定保健用食品)の『ボス グリーン』や、セブン&アイ・ホールディングスと共同開発してBOSSのブランドも冠した『ワールドセブンブレンド』も発売。味のバリエーションだけではなく、あらゆる販売チャネルで攻勢をかけています」
かたや、ジョージアはといえば、マーケティング戦略の効率化が仇となっている。
「2010年からすべての缶コーヒーを<エメラルドマウンテン>と<ヨーロピアン>のブランドに集約させ、よりジョージアブランドの価値を高めようとしているが、取り扱いアイテム数が増えていかないし、消費者の購買動機も徐々に薄らいでいる」(業界関係者)
もちろん、コカ社もサントリーの勢いを静観しているばかりではない。1月27日からKADOKAWAと連携したスマホ・マガジン『週刊ジョージア』を創刊するなど、販促強化に余念がない。