プロ野球の「欠陥」として指摘されるものの一つが「クライマックスシリーズ」(CS)だろう。なにせ、勝率が5割に満たないチームであっても、短期決戦を制すれば日本一になれてしまうのだから。そのために、本誌は「1リーグ・3ディビジョン制」を以前提案した。
その編成は本拠地の地域によって以下のように分ける。
◆イースト=北海道日本ハム、東北楽天、千葉ロッテ、埼玉西武
◆セントラル=巨人、東京ヤクルト、横浜DeNA、中日
◆ウェスト=阪神、オリックス、広島、福岡ソフトバンク
このうえで、「ワイルドカード」のチームを1つつくり、4チームでのファイナルトーナメントを行う、というものだ。
「3ディビジョン」の案は、できればチーム数が多いほうが面白い。しかしこのご時世、これ以上の国内での新規参入は難しい。
そこで、近隣諸国のプロリーグを巻き込んだ「アジアリーグ」を形成すればどうだろうか。加入するのは韓国(KBO、10チーム)と、台湾(CPBL、4チーム)。特に台湾は日本野球の認知度や人気が非常に高く、マーケティング面でも期待できる。
「前回のWBCで日本に善戦したことで、台湾では野球が大人気です。国内リーグよりも日本の野球への関心が高い。その証拠に、スポーツ紙の1面は陽岱鋼(日本ハム)のような日本球界で活躍する選手の記事が多い」(『プロ野球なんでもランキング』の著者・広尾晃氏)
現在も似たような取り組みとして「アジアシリーズ」が行なわれている。アジア各リーグの王者がナンバー1を決めるイベントで、年に1度、台湾で開催される。当初は日本で開催されていたが、観客動員は伸びず苦戦。原因は日本のファンにとって、「MLB相手ならまだしも、馴染みのないアジアのチームをいきなり出されても興味が湧かない」ということだろう。
しかし今回提案する「アジアリーグ」では、シーズン中に交流戦も組まれるため、知名度が上がる。韓国・台湾の選手はNPBに自分を売るチャンスとなり、一層気合いの入ったプレーをするだろうから、試合のクオリティも折り紙付きだ。また観客動員が頭打ちとなっていた日本の球団にとっても、台湾のファンを呼び込むことで、マーケティング面の成長も期待できる。
※週刊ポスト2014年2月14日号