中東・イスラーム研究の第一人者・山内昌之氏(明治大学特任教授)が研究の集大成となる新著『中東国際関係史研究 トルコ革命とソビエト・ロシア 1918-1923』(岩波書店)で光を当てたのは、日本では無名のトルコ建国の指導者、キャーズィム・カラベキルという人物だった。
2段組みで800ページ超、本体価格1万6800円の大作ながら、世界史に埋もれた指導者を描いた人物評伝としての読みやすさも兼ね備え、大型学術書としては異例のペースで増刷を重ねている。
国家、宗教、民族が入り乱れ、戦火を交えてきたカフカス地方を舞台に活躍したカラベキルの足跡は、時を超えて、「外交とは何か」「国家指導者とは何か」という現代国際社会の大テーマに貴重な示唆を与えてくれる。
※週刊ポスト2014年2月14日号