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餃子が日本で初めて登場する文献に徳川光圀の名前が存在する

「リャンガーコーテル! イーピンビーチュー!」──。

 店員の威勢の良いコールは、全国に681店舗(2013年12月1日現在)を展開する「餃子の王将」(王将フードサービス)独自の店内符牒で、「ギョーザ2人前とビール1本」を意味する。「コーテル」は中国語の「コーテイ(焼きギョーザ)」が訛ったものだ。
 
 中国から日本にギョーザが伝えられた経緯については諸説あるが、日本の文献にはじめてギョーザらしき食べ物が登場するのは、1707年刊行の『舜水朱氏談綺』である。明から招かれた儒学者・朱舜水が常陸国水戸藩第2代藩主・徳川光圀公(水戸黄門)に献上した「福包」がそれで、餡には鴨肉や松の実、クコの実などが用いられていたという。
 
 ただし、現在のような焼きギョーザが日本に広く普及したのは戦後になってからだ。横浜中華街の老舗『均元楼』総支配人の段孝宗氏が語る。
 
「中国で『餃子(ジャオズ)』と言えば水ギョーザが一般的。『鍋貼(コーテイ)』と呼ばれる焼きギョーザは、もともと余り物の水ギョーザを焼いて食べたのが始まりと言われます。戦後、満州からの復員兵や引き揚げ者によって日本人好みの薄皮でパリっと焼き上げるスタイルが確立され、焼きギョーザが庶民の味として根付いたというのが定説です」
 
 確かに、ギョーザの街として知られる栃木・宇都宮市には、かつて満州を主戦場とした旧日本陸軍第14師団の司令部が存在し、同市とギョーザ消費量日本一を争う静岡・浜松市も満州開拓団と所縁のある土地柄だ。現在、宇都宮市にはギョーザを提供する店が専門店を含め200店舗以上、浜松市には300店舗以上あるという。

※SAPIO2014年2月号

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