消費増税を目前に、高額なモノの駆け込み需要が相次いでいる。マイホームに次いで大きな買い物である自動車も増税の影響も大きく、人気のハイブリッド車を中心に駆け込み需要が急増している。
しかし自動車ジャーナリストの井元康一郎氏は、「普通車は焦る必要はない」と指摘する。見逃せないのは駆け込み需要の反動減を避けるために、増税後は各メーカーによる値引き合戦が繰り広げられる可能性だ。井元氏がいう。
「消費税率3%から5%に引き上げられた1997年にも極端な値引き合戦が起きました。売り上げ1位の車種を持つメーカーは“看板”として1位を死守したいので値引きし、それが各社に連鎖していきます。
値引き幅は、増税分を相殺するほど大きい。1997年には300万円の新車が20~30%引きで売られることも珍しくありませんでした」
また、車については関連税制が変更されることも決まっている。具体的には4月から「自動車取得税」が現行の5%から3%に、軽自動車は3%から2%にそれぞれ引き下げられ、さらに、2015年秋にも廃止される予定だ。
200万円のコンパクトカーを買った場合で考えてみれば、自動車取得税は車体価格の9割に課税されるので、取得税が廃止されると、単純計算で今より9万円が浮くことになる。ただ、忘れてはならないのは、取得税廃止の頃には、同時に消費税率が10%まで上がっていること。
「確かに額面的にはこれで相殺されてしまいます。ただ、過去の例から考えても、その頃にも反動減を回避するためのオプション割引を行なう販売店が増えることが想像できる。結局、増税前より安く買えるケースは多くなると思います」(都内の販売店店員)
※週刊ポスト2014年2月7日号