2月1日に全12球団が一斉にキャンプインし、いよいよ球春が到来した。昨年は田中将大の24連勝などで盛り上がった球界だが、制度面ではまだまだ改良の余地がありそうだ。本誌は専門家の意見を元に、野球をもっと面白くするドラフト制度改革案を考えてみた。
ドラフト制度は一見、公平に見える。しかし最近では、菅野智之や長野久義のように「巨人以外は拒否」を公言し、ドラフトの意義が薄れつつある。また、弱小球団に指名されたことを嫌がる選手が、「入団拒否」をすることもある。
FA権を獲得できるには7~8年かかる、ならば1年浪人して次の機会に賭けようという思いも頷けるが、要するに現在のドラフト制度は、すでに限界を迎えているのだ。ならばいっそのこと、かねてから議論されている「完全ウェーバー方式」を導入してみてはどうか。
「ウェーバー方式」とは、前年の成績の下位球団から順に指名できる制度。現在、日本では2巡目以下の中途半端なウェーバー制だが、これを“ドラ1”から導入するのだ。メジャーリーグ研究家の福島良一氏が語る。
「MLBはウェーバーによって各球団の戦力の均衡が保たれています。万年B クラスというようなチームが少なくなり、より多くのチームに優勝のチャンスが生まれ、観客増に繋がっている。球界全体にとっても利益になる方式です」
ただ、この方式には、大きく2つの問題がある。1つは、有望選手を獲得するために、最初の指名権を求めて、優勝が望めなくなった球団がわざと最下位に沈むことを狙う恐れがあること。それを防ぐため、1巡目3位まではプレーオフに進出できなかったチームの“抽選”で決定する。
2つ目は、毎年有力選手が下位に指名されるので、入団拒否が増える可能性があること。対策としてFA権を大幅に短縮、4~5年で権利を与えることとする。これならば、最初は希望外の弱小球団でも、高卒選手なら大卒年齢くらいで他チームに行ける。入団拒否も減るはずだ。
こうすれば万年Bクラス球団にも有望新人が入ってきやすくなり、戦力の均衡にも繋がる。ペナントを活性化できるだろう。
※週刊ポスト2014年2月14日号