数ある痩身術のなかでも話題の糖質制限ダイエット(「炭水化物ダイエット」「満腹ダイエット」とも呼ばれる)。今年1月に北里大学北里研究所病院糖尿病センターの研究チームが日本人の糖尿病患者24人を対象に食事療法の比較研究を行ない、「日本人にも糖質制限食は有効だ」とした論文が医学誌に掲載され、「糖質セイゲニスト」と呼ばれる熱心な信奉者も、どんどん増えている。
彼らの成功談を聞くと、短期間に減量効果が出る“夢のダイエット”のようだ。出版社勤務のAさん(30代)は、ご飯、パン、パスタを完全に断ち、好きなビールもやめて黒糖焼酎(糖質ゼロ)にするという徹底ぶりで、わずか2週間で体重が87kgから79kgへと8kgも減った。Aさんがダイエット中の食生活を語ってくれた。
「よく行く牛丼屋では、注文するメニューはいつもと同じ。ただし、大盛り牛焼き肉丼は、“ご飯抜き”にしてもらいます。ショウガ焼き定食でもご飯はもらわず、肉と野菜だけ食べるようにしました。糖質は野菜や調味料から摂取する分だけ。夜はそれまで通り、焼き鳥をつまみに焼酎を呑む生活だったからダイエットの苦痛はそれほどなかった」
ただし、このダイエット、やめたときのリバウンドが大きいことでも知られる。イスラエルの研究では、糖質制限食の人は平均4.9kg体重が減ったが、その後、4年間の追跡調査でリバウンドも大きかったことが報告されている。
「始めて2か月くらいは体重10kg減をキープしていたが、その頃から、好物のカレーライスを食べる夢を見るようになった。1度食べると我慢できなくなって食生活も体重も元に戻ってしまいました。今は2回目の糖質制限にチャレンジしています」(Aさん)
そうしたリバウンドをうまくコントロールしたのが、自営業のBさん(50代)だ。主食の炭水化物は食べない、昼食に弁当を買ったときは、おかずに使われているイモ、ゴボウ、ニンジン、カボチャなどの炭水化物が多い食品は残すという徹底したやり方を取った。
「腹が減ったら、我慢しないでファミレスに行き、250gのステーキを注文した。もちろんライスは頼まず、付け合わせのポテトもニンジンも食べません。それでも足りずに、単品のハンバーグを追加していました。だから食費がかさんでエンゲル係数が2倍になりましたね」
糖質を減らした分を肉(タンパク質)のドカ食いで補ったわけである。それでも体重は1か月で8kg、2か月で12kg、3か月で16kg落ちた。その後、疲れを感じるようになり、主食を食べるようになると6kgリバウンドしたものの、「完全な糖質制限ではなく、朝はご飯を食べるようにして、夜、どうしても小腹がすいたときはリンゴを食べる。そうした食生活に慣れると、リバウンドは収まり、体重は10kg減で維持しています」(Bさん)
※週刊ポスト2014年2月14日号