ソチ五輪が開幕したが、日本代表選手の活躍の陰には、日本のスポーツ職人たちの匠の技と最先端技術が存在する。例えば、スキーやスノーボード競技では、滑走面に塗るワックスがパフォーマンスを大きく左右する。
ウインタースポーツ用のワックスも作るメーカー・ガリウム社はLED基板やパワー半導体の素材として脚光を浴びるレアメタル「ガリウム」を世界に先駆けて配合。「揮発性が高い」「静電気を起こさない」「雪への抵抗が少ない」という特徴が欧州勢からも注目を集める。
そもそもワックスは素材や形状が様々で、その配合は数え切れないほどある。開発者はどれが最適か聞き取り調査を重ね、スキーヤーの感触を頼りに1シーズンで300種類以上つくり上げる。さらに、ノルディック距離で元カルガリー五輪代表の結城谷行社長や選手経験のある社員たちが実際に試してスピードと乗り味を確かめる。
スノーボード代表の角野友基選手や藤森由香選手らとサポート契約を結ぶほか、女子ジャンプ陣やノルディック複合チームにも現地で調合する。
「使用コースに合わせ、競技日の天候はもちろん、“何時何分何秒の雪”にピンポイントで力を発揮するワックスを調合します」(全日本距離チーム元コーチで営業部長の佐藤純一さん)
昨年のプレ五輪で現地調査するなど、準備は万端でソチ五輪に挑んでいる。
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2014年2月14日号