お笑いトリオ・森三中の大島美幸(34)が子作りのために1年間仕事を休むと宣言したことで「妊活」に注目が集まっている。「妊活」という言葉は男性読者には馴染みの薄い言葉だろう。その言葉通り、“妊娠するための活動”のことだが、『妊活 いますぐはじめたい6つの習慣』(総合法令出版)の著者で、いけした女性クリニック銀座の池下育子院長によれば、その範囲はかなり幅広い。
「妊活イコール不妊治療とはちょっと違う。生理不順や卵巣の機能低下があればホルモン治療や漢方療法を行なうなど、妊娠に向けての準備行為を総称して妊活と呼んでいます」(池下院長)
ホルモンバランスを整えるために、食事制限をしたり、ヨガをしたりすることも妊活の範疇に入るという。男の感覚からすると、「妊活するために仕事を休む必要があるの?」と疑問をはさみたくもなるが、池下院長はこう指摘する。
「仕事による不規則な生活や職場でのストレスなどはホルモンバランスを崩すため、無排卵や卵巣機能の低下を招き、不妊につながります。個人差はありますが、職種や職場環境によっては妊活のために会社を休むことは必要だと思います。妊活に取り組む女性は増えていて、最近では20代の若い女性も妊活に積極的になってきています」
女性の間ではもはや常識のようになっている妊活。少子化対策のために、妊活休暇を制度化すべきという意見も出始めている。『妊活バイブル』(講談社+α新書)の共著者で、少子化問題に詳しいジャーナリストの白河桃子氏が語る。
「産休や育休と同様、制度として妊活休暇を導入する必要があると思いますが、まだ企業側のシステムが整っていない。電機連合は2006年の春闘で不妊治療に助成を出してほしいとの要求を出し、受け入れられました。パナソニックも傷病休暇のなかに不妊治療も入るという規定を設けていますが、不妊治療は終わりが見えないので運用には難しい面があります。それでも理解は進んできていて、大手企業では社員の要求に応えているところも増えている」
パナソニックに話を聞くと、「2006年から既存のファミリーサポート休暇制度の休暇事由に、不妊治療が加わりました。この制度では、通常の有休とは別に年5日まで休暇が取れます。そのうちの2日は有休、残りの3日は60%の有休扱いとなります」(広報グループ)という。実際の運用状況については、「把握していない」とのことだった。大手企業も妊活に理解を示し始めたいま、“妊休”制度ができるのは近いかもしれない。
※週刊ポスト2014年2月21日号