各地でキャンプインした12球団に、一日中密着しているスポーツ新聞の番記者たち。在京紙A記者、在阪紙B記者、在京紙Cデスクに加え、スポーツジャーナリストD氏に、新聞には書けない“裏情報”について大いに語り合ってもらった。
A:今年のキャンプの最大の目玉は、何といっても巨人の松井秀喜・臨時コーチの存在でしょうね。巨人はキャンプ初日の観客動員で、久しぶりにソフトバンク(SB)を上回った。
B:松井コーチが動くところ、報道陣も一緒に大移動している(笑い)。
C:つきまとわれるほうの松井は、「お願いだから選手のほうを取材して」と音を上げているんだってね。でも各社とも、本社から「松井の徹底マーク指令」が出ているからなァ。
D:それで松井も諦めたのか、できるだけ選手と絡むようにしていますよね。ブルペンでは、菅野智之の投球練習の時に打席に立ったり、球場ではノック役を買って出たり。
A:しかし本当に真面目ですよね。選手の夜間練習にまで付き合うから、それも取材しなくちゃいけなくて、遊びにも行けないと同僚がボヤいてました(笑い)。
C:さすがは次期監督候補というところだね。それだけに、今は巨人の中での“松井派の番頭争い”がすごい。高橋由伸と阿部慎之助が火花を散らしている。
A:今のところ、居残り特打で打撃投手をしてもらった高橋が一歩リードというところでしょうか。高橋は「まさかこんな日がこようとは……」と感慨深げでしたね。それにノックを受けた時には、“右打ち”の松井が空振りして、外野陣がずっこけるシーンがあったが、あの時も高橋は「ノックは使えないけど、バッピ(打撃投手)としては使えますね」とイジる余裕を見せていた。
D:“高橋一派”は積極的に動いていますよ。実は松井は、自分から選手に教えに行くことはほとんどない。これは「コーチは教えすぎるな」というメジャー式指導法であり、何よりただでさえ目立っている自分が下手に指導すれば、“本職”のコーチに疎まれることがわかっているから。
そんな松井に、最初に直接指導を直訴したのは、高卒2年目の辻東倫(はるとも)だった。打席に入った辻に対して、松井がケージ後方に立つと、カメラマンが一斉にシャッターを切っていましたね。
A:辻といえば、今年から高橋の沖縄自主トレに参加している“高橋門下生”。なるほど、これも阿部をリードする大きなポイントになったでしょうね。
※週刊ポスト2014年2月21日号