最近では紅白歌合戦にも出場するようになり、すっかり市民権を得たように思える「ロキノン系」バンド。「ロキノン系」とは、音楽雑誌『ROCK’N ON』や『ROCK’N ON JAPAN』に掲載されるバンドを指す。こうしたバンドのファンは、時にネット上で「ロキノン厨」と呼ばれることもある。
だが、ロキノン厨もずっと続けられるわけではなく、なかには「卒業」する人も少なくない。自称「ロキノン厨」だった女性Aさん(25歳)は、社会人になってから「ロキノン系音楽を卒業した」と話す。
「音楽自体が聴く気持ちにならない、ということよりも社会人になってから、『ロキノン厨』の自分たちの世界観以外を否定するような傾向を“ダサい”と感じるようになったという方が正しいと思う。自分たちの好きな音楽は特別、そんな音楽が分かる俺カッコイイ、っていう思想だから、EXILEやAKB48みたいに多くの人に受け入れられている曲を軽視する風潮があるんです。
社会人になると、会社に順応したりしてある程度丸くなるから、変な反骨精神もなくなってベタなJ-POPも受け入れられるようになる。だから、ロキノン厨の排他的な雰囲気から卒業できたんだと思います」(Aさん)
もちろん、これはAさんの個人的な見解だ。別の男性Bさん(27歳)は「最近のロキノン系」が好きになれず「ロキノン厨」を卒業したと話す一人だ。
「こういう事を言うと懐古厨(※昔はよかった、と現在を否定する傾向の強い老害的存在)だといわれそうですが、俺はロキノン系は昔のほうが良いバンドが多かったと思います。ロキノン厨って、自分が一番『中二病』だった頃に聴いていたバンドを神格化しがちな傾向があると思うんですが、自分の場合はそれが中高生時代だった。
その頃は、『BLANKEY JET CITY』や『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』、それから『ナンバーガール』、『GRAPEVINE』が大好きでした。当時のバンドは、コードは4つしか使わないなど、シンプルだからこそカッコイイというのが多かった。最近は音楽を複雑化させようとして、5拍子や7拍子などの変拍子を売りにしたり、クラフトワークのパクリや、奇をてらったものが増えた印象がありますね」(Bさん)
音楽ファンも自分の成長に合わせて、音楽との向き合い方が変わるようだ。