春季キャンプが始まったプロ野球だが、どの新聞を開いても似たような記事が並んでいる。在版紙Aデスク、スポーツジャーナリストのB氏、在京紙C記者に在阪紙D記者が、涌井秀章や斎藤佑樹を見習って、メディアももっと必死になるべきだと語り合った。
A:必死、という意味ではロッテの涌井秀章や日本ハムの斎藤佑樹も同じだね。最近ブクブク太ってばかりだった涌井はかなり絞ってきていたし、斎藤はやたらメディアに接触して自分の記事を書いてもらおうとしている。斎藤が「今年はシュートを投げて勝ちにこだわります」といってきたというから、ウチだけだと思って書いたら、他社にも話していて同じ記事が出ちゃった(笑い)。
B:そうそう、同じ記事といえば、いい機会だから最後にちょっといわせてもらうけど……。今年のスポーツ紙のキャンプの記事は、各社まったく一緒じゃない?(苦笑)ちょっとやり過ぎな気がするけどなァ。
A:最近はどこの社も人手不足で、複数の記者が取材に当たるのは巨人、阪神、SBぐらい。あとは1人もしくは評論家担当の遊軍記者が手伝っている程度だから、手が回らない。仕方のない部分もあるんです。
C:結局、「チャンシ」で終わっちゃいますからね。
B:チャンシ?
C:記者同士の隠語です。取材した内容や、取ったコメントをお互いにレクチャーして教えてもらった時は、「チャンシ」と御礼をいうのが慣習なんです。特オチしないよう、情報のすり合わせで記事を補い合う手法。
A:元々は相撲記者が、声が小さくて聞こえない力士のコメントを後で教えてもらった時に、「ごっつぁん」といっていたのが語源。これが「ごっちゃんす」、「チャンシ」に変化した。まァ確かにこれだと、同じ記事ばかりになりますね。
D:野球を盛り上げる意味でも、選手だけじゃなくて我々メディアも、もう少し「必死」にならないといけないのかもしれないね。
※週刊ポスト2014年2月21日号