普段はあまり接する機会のない探偵業。探偵をモチーフとした漫画や映画、小説によって、世間一般の「探偵」イメージが形成されているようだが、実際の探偵業は少々毛色が異なるようだ。2年前まで探偵業を営んでいた女性・Tさん(44歳)は、探偵業の実情を次のように話す。
「よくテレビでは探偵=別れさせ屋みたいなイメージで伝えられることがありますよね? 例えば美人な女性と関係を持たせて、その証拠写真を撮る、っていうタイプ。実際はそういう風に異性をくっつけるということはほとんどないんですよ。
自分が経験した中で一番多かった事例は『元カレ・元カノとよりを戻したい』という依頼。『今恋人が現在付き合っている人と別れさせて、自分のところに戻ってくるようにしてほしい』と依頼してきます」(Tさん)
そうした依頼に対して、どう応えていたのか。Tさんが続ける。
「別れさせるために使うのが、異性ではなく同性の工作員。同性から『今の恋人よりも前の恋人の方が君に合っているよ』とそそのかした方が人は疑わないですね。
復縁のために300万円くらい払う人もザラでした。調査に時間をかけるほど料金も増えますから、不安症の人ほど継続して支払いを続けやすい。1000万円ほどかける人もいましたね」(同前)
彼、彼女たちはなぜそこまでして、ヨリを戻そうとするのだろうか。
「お金をかけてまで、再び自分に振り向いて欲しいと願う依頼人はピュアすぎる人が多い。悪気があるわけではなく、純粋に愛されたいっていう執着が強い人。それから“逃した魚は大きかった”と後悔する人。
でも、男女関係は『縁』だと思うんですよ。いくらお金をかけて一度は復縁しても、そこから先お互いが幸せになれるかは誰も分からない。そんなことしなくて良いように、付き合っている段階から相手のことを大切にしないとね」(同前)