芸能

創立100周年を迎える宝塚歌劇団への憧れ描く2つの漫画を紹介

【マンガ紹介】
『かげきしょうじょ!(1)』斉木久美子/集英社/630円
『ZUCCA×ZUCA(6)』はるな檸檬/講談社/990円

 この4月に創立百周年を迎える宝塚歌劇団。メモリアル・イヤーを漫画でも楽しみませんか。

 宝塚音楽学校をイメージさせる漫画といえば、宮苑音楽学校から物語が始まる氷室冴子・作、藤田和子・画の『ライジング!』。1980年代の名作ですが、現在連載中の斉木久美子『かげきしょうじょ!』(集英社)は、まさにその系譜。〈大正元年創立の由緒も正しく/美しく聡明な女子しか入学できない/紅華歌劇音楽学校〉の入学試験からドラマが走り出します。

 桜舞い散る学校で出会った運命のふたりは、母が女優で自分は元アイドル、クールビューティーな愛と、オスカル様に憧れる天然系女子・さらさ。陰と陽を体現する正反対の少女たちですが、どちらも「もっとこの子を知りたい!」と思わずにいられないカリスマ性があります。ふたりの初対面のシーンがまた、とても素敵なのです。

<しなやかな獣のように長い手足/星をちりばめたかがやく瞳/そして/背が驚くほど高い…>。

 暖かい風が花びらを吹き上げて、さらさの顔が見えた瞬間の愛のモノローグです。

 恋ではない。でも、もしかしたら、この女の子たちの間にはそれ以上の絆が生まれるかも!? そんな未来を予感させるインパクトがあります。

 はるな檸檬『ZUCCA×ZUCA』(講談社)は、ヅカオタと呼ばれる宝塚ファンの日常を綴った5コマ漫画。スタイリッシュで麗しい表紙や舞台幕風の中表紙がおしゃれ! でも読み始めると、宝塚に限らず、何かのファンになったことがあるかたならきっと「あるある!」と転げ回ってしまうはずの笑えるエピソードが満載です。

 つらい残業も、その残業代でチケットが買えるとなればやる気が急上昇したり、ふと気がつけば夫まで宝塚スターの物まねができるようになっていたり…。

 淡いカラーで彩られた控えめな語り口ですが、心の底に秘めたほとばしる宝塚愛と情熱が、じわじわ、ムンムン伝わってきます。まるで宝塚好きの友人とおしゃべりをしているような楽しさを味わえる作品です。

(文/横井周子)

※女性セブン2014年2月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン