テレビ局ではいまやコストカットが至上命題だ。だが取り組む手法は、彼らが作るどんなバラエティよりも「ドタバタ喜劇」である。
数年前から、ひな壇にギャラの安いタレントや芸人を多数並べた番組がバラエティ界を席捲してきた。ロケに行けばそれだけコストがかかる。スタジオの中でおしゃべりをさせておけば、制作費を切り詰められる。それでも人数さえいれば見栄えだけはいいことから、バラエティに革命をもたらしたヒット・モデルだった。
だが、そんな番組も、この1年ほどで激減。いまは逆に、「無駄遣い」として槍玉に挙げられている。
「上層部から『芸人やタレントをあんなに並べる必要があるのか。削れる余地(ギャラ)があるだろ』と締め付けが厳しい。結果、ひな壇芸人はリストラで一掃され、数字の取れるホスト1、2人で回す番組が主流となった」(民放キー局局員)
ホスト役として各局が迎えいれたのがタレントのマツコ・デラックスや有吉弘行だ。現在、マツコはTBS以外の民放すべてでMCを務め、有吉は民放とNHKのすべてにレギュラー番組を持っている。
「マツコらが重宝される理由は何か。実は、特別にトークの面白さが重視されているわけではない。彼らが使われるのは、ギャラが安く済む上に、忠実に台本通りの進行に徹して、無駄な喋りもせず、収録予定時間をきっちりと守るからだ」(前出・局員)
ダラダラと収録を続けられると、タレントの拘束料に加え、外部スタッフの人件費、弁当・飲み物代などの諸経費がかさむ。もちろん局員の残業代も膨れあがる。だからこそ、数字が取れる上に、想定外の出費まで抑えてくれる彼らを、各局が横並びで起用する。
※週刊ポスト2014年2月28日号