DVDや映画化など、テレビ局は利益を上げるために、本業の放送事業よりも、サイドビジネスに躍起だ。
最終回視聴率42.2%を記録した昨年の大ヒットドラマ『半沢直樹』(TBS系)のDVDは昨年12月の販売以降、記録的な売り上げを見せているという。「TBSのDVDの中でも過去最高の初速を見せ、2か月で10億円を売り上げた」(同局社員)と鼻息が荒い。
派生する関連グッズの収益もバカにできず、「倍返し饅頭」(840円)は昨年だけで約20万個を売り上げ1億7000万円を稼いだ。TBSは本社のある「赤坂サカス」などの不動産事業で年間150億円を稼ぎ出す。
一方、ヒット作に恵まれなかった局は、それぞれが得意な副業でガッポリと収益を上げている。テレビ朝日は昨年11月、最新のイベント施設「EXシアター六本木」を併設した17階建てオフィスタワーを港区西麻布にオープン。昨年の催事ビジネス収入は約34億円だったが、不動産事業の“拠点”を築いた今期はすでに36億円(第3四半期決算)を稼ぎ、昨年の売り上げを超えるのは確実だ。
ディノスやセシールといった有力会社を子会社化し、通販事業に力を入れるのはフジテレビ。今期の生活情報事業の売上高(予想)は実に1360億円。視聴率は低迷したままだが、フジはイベント事業でもキラーコンテンツを持っている。『お台場合衆国』である。
「同じ自社敷地内で行なうイベントでも『赤坂サカス』や日本テレビ『汐博』と違って、フジは来場者からカネを取る。自社敷地だから、会場使用料などはゼロなのに。入店したら食事とドリンクを強制的に注文させられるシステムの飲食店を展開するなど、カネが落ちる仕組みを構築する“剛腕さ”が他局と違う」(日テレ関係者)
もちろん、各局主催のイベントに多くの人が訪れるのは、テレビ局が自局の情報番組やCM枠を使って、盛んに宣伝、告知を行なっているからだ。もし外部の事業者がテレビを使ってイベントを宣伝しようと思えば、多額の費用が必要になる。だが、テレビ局は公共の電波を独占しているので、タダ同然でそれができる。
※週刊ポスト2014年2月28日号