中国人民解放軍機関紙「解放軍報」によると、中央軍事委員会が昨年6月から12月の7か月間で摘発した軍官舎への違法入居は2万7000件、軍車両専用のナンバープレートの違法使用は2万9000件に上るなど、軍内での腐敗蔓延が著しい実態が明らかになった。
官舎への違法入居は、本来ならば現役の将兵や家族が居住すべきところ、他にも自宅を持っているなどの事情で、軍とは関係がない知人らを入居させて、家賃を取っているケースだ。家賃は数千元(1元=約17円)から数万元と、かなりの値段となっている。しかし、もともと官舎の家賃は基本的に無料で、他の人に貸すことで、ボロ儲けとなる。
一方、軍専用のナンバープレートを付けた車両はさまざまな“特権”が付与されている。まず、高速道路料金や駐車場料金を払う必要がない。交通違反料金も免除されるため、乱暴な運転になりがちだ。また原則的にどこでも駐車できるなど、交通ルールが適用されない無法ぶりでもある。
このため、軍車両専用のナンバープレートを欲しがる人が多い。それに目を付けて、軍関係者が無断でプレートを売り飛ばす事例があとを絶たず、分かっているだけで2万9000件に達したというのだ。
また、軍では昨年4月から高級外車など、軍が定めた手続きを経ない車などにはナンバープレートの更新を認めない方針を発表した。対象外となるのは排気量3000ccを超え、価格が45万元(約765万円)以上の高級車だ。総後勤部の担当者によると、ベンツ、BMW、リンカーン、キャデラック、ベントレー、ジャガー、ポルシェ、アウディなどとなる。
ところが、実際にプレートを更新した車両を調べてみると、違反車輌は2万5000台以上もあったという。
軍がナンバープレートを変更するのは1951年の軍用車両専用ナンバーが導入されて以来7回目となる。当初は軍基地にスパイが侵入するのを防ぐという国防上の理由で変更されたが、経済の改革・開放路線が進んできた1980年以降では軍将兵の腐敗防止という意味合いが強い。
同紙は軍官舎やナンバープレート以外について、7か月間で無駄な会議が192件中止になり、不必要な軍の刊行物が66冊も廃止になったほか、174件もの軍施設の建設が無駄と認定され、建設中止に追い込まれ、195件もの改修、改装工事の規模が圧縮されたと伝えている。
このほか、軍用機のパイロットライセンスが失効しているのに、指揮官や教官を続けていた190人が資格を剥奪されるという違反事例の摘発も報告されている。