ヘアスタイルのトレンドは猫の目のように変わるもの。芸能人の影響やストリート発信のスタイルまで、さまざまなところから流行に火がつくことがある。都内のヘアサロンで店長を務めるAさん(32歳)は、ここ最近のヘアトレンドについて次のように話す。
「ここ最近はヘアカタログを見ていても顕著ですが、脱個性的なものが多い。ヘアカラーも数年前までは奇抜な色を入れたり、カットもアシンメトリーだったり個性的なものが多かった。
でも最近のお客さんは、カラーも『あまり明るくしないでください』『ダークブラウンで』といったオーダーが多いんです。男性にはツーブロックがまだ流行っていますが、僕が『もうちょっと個性的にカットしてみる?』と提案すると『いや、極力目立たない感じで』と。こんな感じで控えめなお客さんが多いんですよ」(Aさん)
なぜ最近はこうした傾向があるのだろうか。Aさんはこう分析する。
「2000年代の『盛り髪』ブームに代表されるような、いかにも頑張ってますというのが流行らなくなっている。色々と個性的なスタイルが流行ったから、一周して頑張りすぎないナチュラル志向が流行っているんだと思います。
もちろん、雑誌に登場するモデルや読者モデルの中には奇抜なカラーにしている子もいますがそれはごく一部。一般のお客さんは、自然に見せる方向性に傾いていますね。
最近のカタログは、女の子もカラコンにナチュラルな付けまつげ、ナチュラルなヘアという点でみんな同じ子に見えます。昨年流行った赤いリップも、今年は流行りません。代わりにナチュラルな薄いピンクが流行っています。
美容師としては色々なカットを勉強しても、それが生かせる機会が少ないとう点では楽しみが減ってしまっているかもしれないですね」
ナチュラル志向を受けて、美容師ならではの悩みもあるようだ。