民放の夕方ニュース枠が拡大している。かつては18時からの1時間番組ばかりだったが、1996年10月に、日本テレビ系の『ニュースプラス1』が放送開始時間を30分前倒し。当時、フジテレビと熾烈な視聴率争いを続けていたが、日テレは同時間帯のニュース番組のなかで、トップに躍り出ることに成功した。
その日テレは今年1月から、『news every.』の時間を拡大。月曜日から木曜日までは、15時50分から19時までと、3時間10分もの長時間にわたる番組となっている。
放送時間が拡大すれば、当然そのぶん“素材”を多く出さなければならない。これは、番組制作会社にとってはありがたい話なのだという。テレビ制作会社スタッフが話す。
「制作会社の多くは、自分の会社の核となるレギュラー番組を持っています。レギュラー番組の多さは、会社の大きさと比例する。ただ、テレビ番組ほど不安定なものはない。いつ終わるかわかりませんからね。実際、数本のレギュラーがいきなり終わるケースもある。そうなると、当然会社は傾きます。
そのとき、局はその制作会社に『ニュース番組のコーナー枠を作ってみない?』と提案するわけです。そこで良いVTRが作れるかどうかが、次のレギュラー番組獲りへの足掛かりとなる。だから、制作会社にとって、ニュース枠の拡大はチャンスが増えるので、ありがたいのです」
もちろん、そのぶん競争は激しい。
「特に、レギュラー番組のなくなった制作会社は、そのVTRに命を懸けるくらいの勢いですからね。今、夕方のニュース帯は日本テレビとテレビ朝日が好調。いまのテレビ界の2強ですね。
もちろん制作会社も局とのつながりがありますから、TBS系の会社がいきなり日テレやテレ朝の番組を請け負うのは難しいですが、それでも、できることなら好調な局の番組を作りたいもの。その2局に質の高い制作会社が集まるのも必然でしょう」(同前)
制作会社にとってみれば、夕方ニュース帯の1コーナーは一種のコンペのようなもの。局側にとっては、良い制作会社を見極める良い判断材料となるようだ。