5年間、独自のがん治療法を訴え続けてきた医師の近藤誠さんの近著『医者に殺されない47の心得』が108万部のベストセラーになっている。「初期であろうと末期であろうと、がん患者はなるべく臓器を温存したほうが生活の質も上がり、むしろ寿命が延びる」──という近藤医師の理論。がん検診、無用な手術、抗がん剤がいかに不要であるかを訴えている。
近藤医師による、現在の医療常識とは一線を画すさまざまなアドバイス。では実際に、どのようにがん治療と向き合えばいいのか、その流れについても聞いた。
「ご飯がおいしく食べられて、何も症状がない健康な人は、健診や人間ドックに近寄らない。それが最大の健康法です。健診を受けると、がん患者にされてしまう可能性が大きい。職場で健診をする必要がある人はできるだけ検査項目を減らし、がん発見の可能性を少なくしてください」(近藤医師、以下「」内同じ)
出血などの自覚症状があったとしても、1回限りならそれほど心配はない。乳房のしこりも、50才前後だと女性ホルモンの影響もあるからまずは様子を見る。力の入れ加減を同じにして定期的に大きさを測り、それでもやはりしこりがあるようだとわかったときに始めて行動を起こせばよい──それが近藤医師の主張だ。
その場合、大学病院でなく、まずは近隣の開業医や診療所を訪れれば充分。そこでがんだと告げられ、医師に手術や抗がん剤治療を勧められたら、必ずセカンドオピニオンを取るようにしたい。セカンドオピニオンとは、診断や治療方針について主治医以外の医師の意見を聞くことだ。
「その際は別系列の大学病院、あるいは別の診療科を訪ねてください。そうでないと、医師は同じ意見しか言わない。なぜなら、多くの医師はガイドラインに書いてある通りの治療法しか話さないからです」
たとえセカンドオピニオンを取ったとしても、同じ意見を聞いて自分のところに帰ってくる、と紹介状を書く医師も思っている。だから安心して検査資料を渡すのだという。
「反対に患者を奪われると思えば、そう簡単にはいきません。事実、ぼくのところに来たくても、医師から資料を渡してもらえなくて困る人は少なくありませんでした」
そこで昨年、設立した『近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来』では、検査資料などがなくても診療できる体制を整えた。
「患者の話だけでも、診療方針の大枠はアドバイスできます。患者はもともとサービスを受ける客側の立場にある。どこで治療しようが、たとえ転院しようが、自由だと考えてください。日本では長い間、医者が優位という状況が続いてきたために、患者側が遠慮する傾向にあるのです」
どの臓器のどんな状態のがんにも、必ず複数の治療法があるもの。セカンドオピニオンを経て、なるべく臓器を残す治療法を選びたい。
「検査で発見されても、自覚症状がなくごはんがおいしければ、がんであることを忘れて生活してください。転移のある末期がんでも、苦痛などの症状がなければ様子を見るのがいちばんです。おとなしく寝ている子を起こしてはいけない。がんが暴れ出さない限り、そっとしておくのです。その方法がいちばん寿命が延びます。苦しみ抜いて死ぬのは、がんのせいではなく、切除手術や抗がん剤治療のせいなのです」
※女性セブン2014年3月6日号