これまで長い間、日本のフィギュアスケート界は“浅田真央人気”に頼りきってきた。浅田は11歳にして全日本フィギュアに出場。2005年12月にはわずか15歳でGPファイナルを制した。年齢規定に87日足りないため翌年のトリノ五輪出場はかなわなかったが、大新聞や時の総理大臣(小泉純一郎)さえ、国際的ルールを変えて浅田を出場させようと訴えた。
以来、8年間。とうとう浅田がリンクを去る時がきた。男子では高橋大輔や織田信成、女子も安藤美姫、鈴木明子といった、浅田とともにスケート界を引っ張ってきた選手たちも軒並み引退を決めている。
「羽生結弦というニュースターは誕生したものの、来年以降、他には目玉になるような選手がまったく見あたらない。とくに女子は深刻で、テレビ局も日本スケート連盟(JSF)も頭を抱えている。来期のGPシリーズに力を入れようにも、活躍するのが海外選手ばかりでは観客も視聴者もシラケるばかり。
そこでテレビ局は荒川静香や安藤、それに浅田も共演するアイスショーをやってなんとかフィギュア人気を維持しようと躍起になっているようだ。だが、そんな目先の利益ばかりを考えていても問題解決にはならない」(フィギュア関係者)
浅田の“後継者”として期待の高かった村上佳菜子(19)もすでに引退を視野にいれているという。
「今年引退という声も囁かれています。さすがに連盟に引き留められ、来期は続行するかもしれませんが、村上一人でひっぱっていくには厳しいし、これからの期待の選手とは正直言いづらい。4年後まで続けている可能性も限りなく低い」(スポーツ紙記者)
若手の人材の枯渇は深刻だ。これまで世界ジュニアでは、浅田、安藤、織田、小塚崇彦など、日本選手が毎年のように3位以内に名を連ねてきた。ところが、女子は2010年に村上が優勝、男子は2010年に羽生が優勝、翌2011年に田中刑事が2位になったのを最後に、3位以内が一人もいない。
昨年の全日本選手権で4位に入った15歳の宮原知子らの存在も挙げられるが、「もし実力で世界レベルになっても、彼女を見たくてテレビをつけるという人気までは難しいでしょう。結局、目玉選手が誰もいない」(前出・スポーツ紙記者)。
ドラマ『家政婦のミタ』でブレイクし、子役としても人気の高い本田望結(みゆ)の姉妹が注目株ともいわれるが、姉の真凜は12歳、望結はまだ9歳。育ったとしても全日本レベルの年齢にはあと4~5年はかかる。それまでフィギュア人気をつないでいけるのだろうか。
※週刊ポスト2014年3月7日号