ひとりあたり3.1枚所有するほど、日本人にとってクレジットカードは身近なものとなった(日本クレジット協会調べ)。日常的なものになったとはいえ、どのカードにするか入会前に比較しても正直なところ違いがわからないというのが消費者の本音だ。結局、どのカードにするかデザインで決めたということも少なくない。そこで増加しているのがさまざまなキャラクターカードだ。
多種多様なクレジットカードの中から少しでも目立とうと、特徴あるキャラクターがデザインされたカードが数多く発行されている。
全年齢層に男女問わずファンが多い熊本のゆるキャラ「くまもん」、小さな子どもにお馴染みの黄色いトラの男の子「しまじろう」、30~40代男性に絶対的人気の「ガンダム」など例を挙げるときりがないほどだ。そして、世界中の女の子がカワイイと声を上げるアイドル「ハローキティ」を採用したカードももちろんある。
日本発のキャラクターの中でもキティの人気は年齢や立場、国境すら超えている。華原朋美、深田恭子や辻希美に紗栄子といった日本の芸能人だけでなくキャメロン・ディアスやブリトニー・スピアーズ、レディー・ガガなど海外セレブもキティのファンだ。都内の女子大学3年生も生まれてからずっとキティ好きだという。
「母も姉も、お父さん以外は家族みんなでキティ好きです。小物や文具など、気がつくとキティちゃんのものを買っています。成人式のあと、自分専用のクレカをつくろうと考えたときもキティちゃんのデザインカードを選びました。お気に入りのカワイイものに囲まれていると幸せな気分になれるので。たぶん私がおばさんになっても、おばあちゃんになっても、キティちゃんのことはずっと好きなままだと思います」
多くのカードでは、キャラクターにまつわるサービスがデザインのみにとどまっている。ところが、セディナが発行する色々な種類のハローキティカードの場合、キティ好きなら見逃せない特典がいくつもあるのが特徴だ。
たとえば、ハローキティとコラボレーションしたキャンペーンがあったり、ポイントでハローキティグッズと交換できたりする。また、複数あるハローキティカードのなかには、誕生月になるとキティちゃんからバースデーカードが届くものもある。これらの特典があるセディナのハローキティカードは、雑誌『CanCam』でも話題になっている。
キャラクター人気をあてこんでカードのデザインに採用しても、ファンの気持ちがつかめなければ消費者は実際にカードをつくる決断をしない。にもかかわらず、これまではデザインだけで惹きつけようというカードが大勢だった。しかし最近ではセディナのハローキティカードだけでなく、他のキャラクターカードもキャラグッズ交換や対応する着うたダウンロード、イベント招待などファン向けサービスの範囲を広げている。
キャラクターのクレジットカードを2種類持っているという30代の会社員女性は、特典を見てそのカードをつくることにしたという。
「限定グッズに交換できることもありますが、イベントチケットを優先予約できることが大きいですね。普通に予約しようとすると取りづらいので、キャラクターのクレジットカードのおかげで助かっています」
今後も増え続けそうなキャラクターカードだが、そのファンの心をつかめるかどうかは、デザインだけでは済まされない時代になった。