世界最高の表現力があるとはいえ、持病の腰痛など満身創痍。ソチ五輪・女子フィギュアスケート銀メダリストのキム・ヨナ(23)には、絶頂の4年前、バンクーバー五輪で金メダルを獲得した直後に引退し、花道を飾るという道もあったはずだ。
それでもなぜヨナは、ソチへと挑んだのか。それはメダルの「金」より「金(カネ)」の面が大きかったのでは、と分析する関係者は多い。韓国のスケート関係者がいう。
「ヨナの家族は、彼女が稼ぎ出す収入によって支えられている。米『フォーブス』誌によれば、2013年の収入は1400万ドル(約15億円)ともいわれている。もちろん普通ならこれだけで家族を一生養えるような額ですが、ヨナ一家の場合は話が違う。
ヨナの父親は、その収入を原資に手広くビジネスを展開しており、今年1月には“不動産投資で大きな負債を負い、そのためにヨナは現役続行を余儀なくされた”という報道もあったほどです。いくらヨナが国民的大スターとはいえ、引退してしまえば広告価値は下がるし、現在の収入が維持できるかどうかはわからないですからね」
今後のヨナ一家の安泰のためには、今のうちに少しでも稼いでおく必要がある、ということなのだ。
ヨナ家のもう一つの悲願は、ヨナのIOC委員就任だ。4年後(2018年)には、母国・韓国で開催される平昌五輪も控えている。
「2018年には、国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員選挙も平昌で行なわれる。その立候補条件は、現役選手か直近の五輪に出場していることです。ソチ五輪出場は、ヨナにとってその面でも大きかった。開催地の投票権を持つIOC委員に就任すれば、韓国内でのヨナの立ち位置は引退後も磐石です」
※週刊ポスト2014年3月7日号