国会では過去最大の96兆円の予算案が審議中だが、シロアリ官僚たちが早速群がっている。2020年開催の東京五輪準備の公共事業では、新国立競技場をはじめとするアリーナ建設や東京外環道などの道路整備がスタートした。
その中でも国交省が意欲を燃やしているのが羽田空港―東京駅―成田空港を大深度地下鉄で結ぶ「都心直結線」の建設だ。東京駅―成田間は30分に短縮される。総事業費約4000億円という新国立競技場をはるかにしのぐビッグプロジェクトである。
国交省は昨年の概算要求でこの調査費を要求したが、財務省に門前払いされた。それが東京五輪の招致が決まると、来年度予算で調査費が認められたのだ。同省都市鉄道政策課の担当者の話にも熱がこもる。
「成田エクスプレスは時間がかかりすぎ。4年前に成田―日暮里間36分というスカイアクセスを整備したが、いかんせん日暮里ですからね。都心に行くには乗り換えが必要になる」
自分たちが推進した成田エクスプレスやスカイアクセスをこうまでこきおろすとは……。ところが、悲しいことに、この都心直結線の完成は早くても2020年代後半とされ、東京五輪には間に合わない。
それでも、役人の世界ではいったんGOサインがでれば事業化の予算がついて走り出す。“五輪便乗商法”で4000億円の税金をせしめようとしている。
※週刊ポスト2014年3月7日号