笑いの世界に足を踏み入れてから50余年。“欽ちゃん”のニックネームで親しまれ、お茶の間にたくさんの笑いを届けてきた萩本欽一(72才)が、3月の公演をもって舞台を“卒業”する。長きにわたってお笑い界を支えてきた欽ちゃんが、今のお笑い界について、思うところをとことん語ってくれた。
現在、多くのバラエティー番組のMCに起用されているのは、とんねるずやダウンタウンなど『ビッグ3』の次の世代にあたる。さらにその下には、爆笑問題やくりぃむしちゅー、雨上がり決死隊などが続いている。
「売れてる人の根底にあるのは、努力、修業の深さです。これはどの時代にも通用します」
欽ちゃんは、そう言う。ダウンタウンの2人は、まだ無名だったころ、『欽ドン! ハッケヨーイ笑った!』(フジテレビ系)に出演した。
「松本(人志・50才)という鋭い男がいるってディレクターに聞いたんです。でもまったく鋭いところを出さないし、がっつかない。どっしり腰が据わっていて“このコンビは大物になるなあ”と思いましたね」
とんねるずの石橋貴明(52才)は、ことあるごとに欽ちゃんの番組にかかわったディレクターをつかまえ、「萩本さんはどんな番組作りをしていたんですか?」と、その極意を探っていたという。
若かりし頃の志村けん(64才)も同じ。
「志村けんっていう名前、覚えておいたほうがいいよ。この男は必ず出てくるから」
そう、テレビ局のディレクターから、言われたことがあった。
「まだドリフに入る前で、けんちゃんは『マックボンボン』という漫才コンビを組んでいました。毎週、“勉強したいので”とぼくらの番組の台本をもらいにきてたというんです。
今の好きな芸人? TKOの木本(武宏、42才)くんです。理由? “55号が大好きで、昔のVTRを見てコントを作ってます”って言われたから(笑い)。“好きです”って言われたら、こっちも好きになっちゃいますよ」
いたずらっぽく笑う欽ちゃん。そのまなざしは、後輩芸人たちへの希望とエールで溢れていた。
※女性セブン2014年3月13日号