「年をとると病気にかかる可能性が高くなるから」と、医療保険を必須のように考えている中高年もいるだろう。
しかし、「高齢者ほど医療保険との相性は悪い」と指摘するのは、『生命保険の嘘』(小学館刊)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さんだ。
「よくテレビCMなどで『持病があっても入れます』などのフレーズを耳にしますが、こうした中高年向けの保険は特に注意が必要です。高齢者や病気を抱える人が多く加入しやすいということは、保険会社は給付金の支払いリスクが高くなる。そのような保険商品は、保険料を高くするか、保障を薄くするかのどちらかしかありません」
例えば、60才の女性が持病があっても入れるX社の終身医療保険に加入した場合、保険料は年間約16万円。一方、給付金は「入院1日1万円」「手術10万円」で、しかも1年目は半額。毎年、手術を伴う6日間の入院をしても元は取れない。
後田さんは、“気持ち”と“お金”は分けて考えるべき、と助言する。
「“病気になったら大変”と感じるのはもっともですが、その不安につけこまれていませんか。『高額療養費制度』などの公的保障を熟知している保険会社の人は医療保険に入りません。貯蓄での対応が合理的だと判断しているのです。不安だから保険に頼るのではなく、“保険の利用が適切”な場合しか加入しない、これがポイントです」(後田さん)
※女性セブン2014年3月13日号