総務省『家計調査』(2013年)のデータによると、高齢夫婦世帯の医療費は月平均1万2000円程度。どんな医療費が高くつくのか、どう節約しているのか、実際の高齢者に聞いてみた。
持田直樹さん(仮名、70才)と智子さん(仮名、68才)のご夫婦は、年間350万円の年金を受給し、医療費は年間49万円かかるという。
4年ほど前、直樹さんが膀胱に違和感を覚えて診療所で診察してもらったところ、前立腺肥大であることが判明。その後、県の病院を紹介され定期的に検査を続けていたが、2013年4月、数値が上がり、生体検査を行ったところ、夫は前立腺がんを宣告された。
「最初はとても不安になりました。手術が必要との話だったんですが、本当に治るのか、治療は数百万円になるのではないか、と。特にお金のことは心配だったので、いろいろ調べるうちに高額療養費制度のことを知り、少しホッとしました」(直樹さん)
3か月後の7月に4日間入院し、悪性腫瘍の切除手術を受けた。
「退院するときに窓口で10万円ほど払いましたが、のちに自宅に高額療養費の申請通知が来ました。申請すると、1万5000円ほど戻ってきました」(直樹さん)
ただ、思いのほかかかったのは、術後の治療費だった。がん細胞の成長を阻止するためのホルモン療法で、毎月の注射代が1万5000円、薬代が5000円。しかし、9月に直樹さんが70才の誕生日を迎えると、以後は医療費が3分の1になったという。
「70才以上になると、医療費は3割の自己負担から1割負担になりました(4月からは2割)。助かりました。注射1本に1万5000円かかっていたのが、5000円ですむようになったので」(直樹さん)
11月と1月に再手術、入院をしたが、1割負担のおかげでいずれも5万円未満。結局、1年間でかかった治療費は、入院・手術・注射・薬などで44万円、膝関節症を抱える妻の医療費5万円の計49万円だった。
※女性セブン2014年3月13日号