昨シーズン、トニ・ブランコの後を打つ5番打者として、チームの最下位脱出に貢献した横浜DeNAベイスターズの中村紀洋(40)。だが今シーズンは、同じサードを守るアーロム・バルディリスがオリックスから移籍。昨シーズン2割8分9厘、17本塁打、97打点と安定した活躍をした助っ人の加入は、チームにとってはもちろんプラスとなるが、中村にとっては大きな脅威となるだろう。スポーツライターはこう話す。
「バルディリスが故障でもしない限り、中村の開幕スタメンは厳しい。一昨年はラミレスの故障もあってDeNAの初代4番打者となり、昨年は開幕スタメンこそ筒香嘉智に譲ったものの、2戦目から実力でレギュラーの座を奪い返し、チームに欠かせない存在になった。しかし、今年ライバルとなるバルディリスは、日本でも実績のある外国人選手。よほどの不振に陥らない限り、代打の切り札としての起用が濃厚でしょう」
40歳とはいえ、昨シーズン122試合に出場したバリバリのレギュラーである中村がいるにもかかわらず、球団が同じポジションのバルディリスを獲得したのには、昨季後半戦の成績が予想以上に下降したのが影響しているようだ。
「昨年7月24日に40歳の誕生日を迎えて以降、どうも打球に力がなくなっている。事実、前半戦終了時点で3割1分1厘、12本塁打と見事な活躍をした中村ですが、後半戦は2割3分4厘、2本塁打と突如として打てなくなった。
気になるのが、打球の質。中村といえば、鋭い打球や豪快な一発が魅力ですが、後半戦からは、どうも詰まる打球が急激に目立つようになった。たとえば、同じライトフライでも、前半戦はライトが定位置から下がる良い当たり。でも、後半戦はどん詰まりでライトが前進してくる当たりが増えた印象です。
本人は、『あと1本に迫っている、王さんの持つ満塁ホームランの通算記録に並びたい』と今年の目標を掲げていますが、もしかしたら長打ではなく単打狙いにシフトチェンジしてくるかもしれません」(同前)
これまで、逆境から何度も這い上がってきた中村紀洋。正念場となるシーズンでどこまで勝負強い打撃を見せられるか。