かつて“参議院のドン”と呼ばれた村上正邦・元自民党参議院議員会長は、1999年11月の今上天皇の御在位10年の祝賀行事に、X-JAPANのYOSHIKIを抜擢した。その後開かれた皇居でのお茶会では、美智子皇后がYOSHIKIの演奏について言及したという。村上氏の新刊『だから政治家は嫌われる』(小学館刊)では、当時の様子をこう振り返っている。
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和気藹々で、皇后陛下ともいろんなお話をしたんだけど、そのときに御在位10年のYOSHIKIさんの演奏に触れられてね、「あれはちょっとキーが重かったですね」って、こう言われたんだよ。キーが重かったって。
どういう意味かわからなかったんだけど、「どういう意味ですか?」って聞けないじゃない。だから、「ああ、そうですか」って。私だけじゃなくて、みんな意味がわからなかったけど、「そうですか」って。
そのあとね、YOSHIKIさんとお母様と一緒に食事をする機会があったんだ。慰労会のような感じで、神宮前の日本食の料理屋で。
そのときに聞いたんだ。「いやあ、皇后様が、キーが重いと言われたけども、YOSHIKIさん、どういう意味?」って。そしたら、YOSHIKIさんが、「そうですか」ってハッとした顔をしたんだ。そこで私は初めて知ったんだ。なんで園遊会にお母様をお連れしたいと言ってたのか。
YOSHIKIさんは「私は日ごろから使い慣れてるピアノを持って行こうと思って、用意していたんですが、母から電話がかかってきまして」と。お母様は九州の門司なんだよね。
「門司からロスへ電話がかかってきて、両陛下のためにピアノを弾くならば、そういう古いピアノでは失礼です。だから、私が新しいピアノを買い求めておくから、どこへ送ればいいかと聞かれて、それで、実はあのときに初めて弾いたピアノなんです」
新しいピアノで、しかも当日は朝から雨で、湿気も多かった。「だから、ピアノのキーが重く感じられたのでしょうね」と。
いや、ホント、皇后陛下の耳はすごいですよ。YOSHIKIさんも驚いて、「ああ、皇后様はそこまでお気づきでしたか」って。
※村上正邦/著『だから政治家は嫌われる』(小学館)より