ソチ五輪をめぐる韓国メディアの暴走には呆れるばかりだった。女子フィギュアスケートのキム・ヨナは銀メダルを獲得したが、ロシアのアデリナ・ソトニコワが金メダルを獲得したことに異議を唱え、「詐欺」「強盗」などの言葉が踊った。
韓国代表のパク・スンヒが金メダルに輝いたスピードスケート・女子ショートトラック1000メートルでは、何の処分も出ていないのに中国人選手がパクの体に接触しようとしたと断じ、〈故意妨害の中国人選手が銀メダル〉(2月24日・朝鮮日報)と報道。失格なら韓国のシム・ソクヒが銀に繰り上がっていたと主張した。
強すぎる“愛国心”は、時に近親憎悪へと転化する。激しい批判を浴びたのが、韓国からロシアに帰化し、ロシア代表として金メダル3個、銅メダル1個を獲得したビクトール・アン(韓国名・安賢洙)だ。
彼はかつて「ショートトラックの皇帝」と讃えられたが、韓国スケート連盟との確執もあり、ロシア代表へ転じた。彼は一転、国賊として扱われている。
〈キム・ヨナの寄付総額は25億ウォンに達する。(中略)逆に、アンの寄付や奉仕のニュースを見つけることができなかった。だから、少なくとも韓国人には「キム・ヨナの銀メダル」が「アンの金3冠王より100万倍の価値があるのだ〉
〈アンはロシアのマスコミとのインタビューで「ロシアに永遠に生き続ける」と述べ、(韓国)国内メディアとのインタビューでは、「私はいつの日か再び韓国国籍を回復したい気持ちがある」と二枚舌を続けている〉(24日・日刊紙『アジアトゥデイ』)
身内にはとことん甘く、外国人選手や“裏切り者”には厳しい韓国メディアの本性が見て取れる。仰天したのは21日の『アジア経済新聞』だ。
女子フィギュアについて、
〈国内でも疑惑判定ではないかと不満が続いている。特にブラジルW杯の時、復讐するという意見が多い〉
〈「6月にブラジルで、韓国サッカー代表チームがロシアを失神させて、ゴール後にフィギュアセレモニーしてくれるよ」という書き込みが殺到〉
と、ネットの過激な意見を紹介。W杯予選で同組のロシアへの“宣戦布告”ともとれる過激な文面だった。評論家で『呆韓論』(産経新聞出版刊)著者の室谷克実氏が指摘する。
「韓国は、先のロンドン五輪で竹島を韓国領土だと政治的な宣伝活動をして、世界中から非難を浴びたばかり。中央日報は当時、『成熟したコリアを見せたロンドン五輪』との社説を掲載し、世界中から失笑を買った。さすがに一部では、自国礼賛報道への自己反省も出るようになったが、その本質は変わっていません」
結局、韓国メディアにとって、五輪もスポーツも国威発揚と政治活動のための道具でしかないのだ。
※週刊ポスト2014年3月14日号