プロ野球の選手名鑑は毎年2月下旬、各社ほぼ同時に発売される。
「名鑑は1年に1度しか発売されないので、1日でも発売日が遅れると売り上げに響く。そのため必死で他社の情報を仕入れ、5大名鑑<ベースボール・マガジン社、日刊スポーツ出版社、毎日新聞社(スポニチ)、宝島社、廣済堂出版のもの>以外でも一斉発売を目指します」(出版関係者)
ただそこには大きな苦労がある。名鑑の「写真」だ。
プロ野球選手がユニフォームを着て動けるのは、キャンプ初日の2月1日以降。昔は各社のカメラマンがキャンプ初日に手配されたが、今は球団の専属カメラマンが撮影し、各社に提供する方式が主流だ。
「正面、斜め、笑顔、真顔など様々なパターンが用意され、各社がその中からセレクトして使う。そのため比較すれば、各名鑑とも同じ写真を使っていることがわかります」(前出の関係者)
その際、頭を悩ますのが新外国人の扱いだ。『週刊ベースボール』編集長の小林光男氏が語る。
「外国人はキャンプ初日に来日しないケースもあるし、キャンプ中に獲得が決まる場合もある。今年は、オリックスのベタンコート選手がそうでした。キャンプ直前に入団が決まったので、来日も遅れて写真もない。弊社はメジャー時代の写真で対応しました」
本誌が確認すると、中には写真掲載を諦めた社もあった。ベタンコートには各社が振り回されたようだ。
※週刊ポスト2014年3月14日号