「へぇ、相模原はゆずの産地なんですねぇ! 山梨県にはワイナリーを結ぶ『ワインタクシー』があるのか。これなんか、いかにもクイズ番組で出そうだなぁ……」
“クイズ王”として知られる漫画家のやくみつる氏は、日刊『日本農業新聞』の紙面をめくりながら新たな情報をインプットする毎日だ。やく氏は11年前から同紙で2週間に1度の連載を持っている。
「日本農業新聞のほかに、スポーツ紙、一般紙、地方紙と毎朝6紙を購読しています。日本農業新聞はかなり一般紙に近いものがありますね。もちろん、農業に特化した専門的な記事が中心ですが、業界紙最大手だけあって、バラエティに富んだ記事が載っている。夕方5時台の情報番組を見ているような感覚です」
とはいうものの、やく氏が語る同紙の魅力はかなりマニアックだ。
「この新聞には害虫の話題がとても多いんですよ。図鑑では見かけないような虫がバンバン出てくるので虫好きにはたまらない。例えば、アザミウマといって普通の人なら絶対知らない虫がいるのですが、日本農業新聞には『○○○アザミウマ』と、研究者しかわからないような種類まで載っているんです。こうなるともう、“虫の業界紙”といえなくもない」
コメンテーターとして出演するラジオ番組では、朝刊からニュースをピックアップするコーナーがあり、そこでも「カメムシ」など虫ネタで盛り上がることも多いという。同紙から収集するネタは花や野菜、果物など生活に密着しているため、日常生活でも披露できるのだとか。
「役に立ったといえば、最近ある女性と青山の高級鉄板焼きの店に行った時ですね。見慣れぬ野菜を店員が説明しようとしたので、“私が”と片手で制して、きっちり説明してあげました」
その野菜は「カリブロ」という、ブロッコリーとカリフラワーをかけ合わせたような野菜。店員よりも詳しく説明したことで、女性は感激。非常に痛快だったそうだ。
※週刊ポスト2014年3月14日号