「高層マンションなのに部屋に太陽の光があまり差し込まず、向かいのビルもほとんど見えません」
と語るのは、写真を撮影した北京在住のジャーナリスト宮崎紀秀氏。暗く沈んでよく見えないのは撮影上のミスではない。
2月21日、大気汚染によって史上最悪の「オレンジ警報」が出された北京の街の様子だ。オレンジの一段前のイエロー警報が出てわずか1日でレベルが上昇。その後も警報虚しくPM2.5の濃度は上昇し、日本基準の11倍を越えた。この惨状に政府系機関ですら、「人類の居住に適さないレベル」と突き放すほどだ。
ことは中国だけにとどまらない。韓国では流れてきた汚染物質で視界が悪化し、飛行機50便が欠航。日本でも福岡県の観測値が25日から急上昇し、基準値を超えた。
毎年、大気汚染で100万人以上が死亡し、8億人が呼吸困難に陥っているといわれる中国。悪化の一途を辿る状況に、習近平主席がとった対策は、自ら街頭に出て「深呼吸するパフォーマンス」というから、開いた口が塞がらない。いや、塞がないともっと危ないか。
■撮影/宮崎紀秀
※週刊ポスト2014年3月14日号