中国の最高指導者、習近平国家主席が先月25日、微少粒子状物質(PM2.5)が大量に発生するなか、北京市内で、マスクも付けずに昔ながらの胡同(路地裏)などを視察し、気楽に庶民に声をかけるパフォーマンスを披露。実は、スウェーデンのビルト外相が北京を訪問し、あまりのPM2.5のひどさに大使館のミニブログに「気分が悪い。空気が不快だ」と文句を書き込んだのもこの日だった。
2人を対比したブロガーが「さすがに我らが指導者は、ヨーロッパの片田舎の外相よりも身体がタフで、庶民思い」と絶賛する声を書き込んだことから、期せずして習氏の庶民性がアピールされるという好結果をもたらしたのだ。
AP通信などによると、ビルト外相は北京の大気汚染のひどさについて、次のように書き込んだ。
「スモッグが数日で消え去ることを心から願っている。気分が悪く、有害だ。スウェーデンと中国は、空気の質や環境、世界規模の気候問題について緊密に連携しなければならない。スウェーデンは多くの経験を提供できる」
これについて、ネット上では、「気分が悪ければ、来なければ良いのだ。中国の大気汚染について、『全然知らなかった』とでも言うつもりか。間違っても、スウェーデンのような欧州の田舎の国の力を借りるつもりはない」との書き込みが現れる始末。
さらに、同じ日に習氏が北京の胡同を視察した際、習氏を目撃した市民は即座にネットにコメントを書き込んだ。
「すごいぞ。習主席はマスクをしていないぞ」
「今日、習主席が北京の胡同を視察したが、さすがに我々の最高指導者は偉い。マスクもせずに1日中歩き回っても、文句一つ言わずに、庶民の生活の心配をしてくれた。どこかの国の外相とは違う」
この日、紺色のジャンパーにスラックス姿をいうラフな格好で現れた習氏は胡同で、市民が携帯電話で写真を撮るのも構わず、市民に話しかけた。
「みなさん、こんにちは。ところで、そこのお爺さん。料理に使う燃料はなんだい。ガスか、石炭か」
「トイレは家から近いのかい。遠いのかい」
「家の広さはどのくらいだい。十分か。狭いか。どちら?」
そして、住民の顔を見ながら、次のように述べた。
「みんなの顔を見ていると、北京に新鮮な空気と水を提供したくなった。私もこれから頑張るよ」
習氏にはこれまで街頭で流しのタクシーを捕まえて、運転手と世間話に興じたり、庶民が利用する肉まんチェーン店で定食を食べるなどのパフォーマンスがあったが、今回の胡同視察は市民からそれなり好感を得たようだ。