2004年にデビューし今年10周年を迎える4人組ボーカルグループ、イル・ディーヴォ。今、彼らは4度目の日本ツアーの真っ最中。会場には、彼らの歌声を生で聴きたいという老若男女の多くのファンが全国から押し寄せているという。ひと昔前のヨン様ブームに匹敵する熱さなんだとか。
グループ名の由来はイタリア語で「神のようなパフォーマー」。4人の男性ボーカルユニットである彼らは、10年前のデビュー以降、これまでにアルバムを全世界で2600万枚売り上げているスーパーグループだ。音楽評論家の村岡裕司さんは彼らの魅力をこう語る。
「メンバー4人のうち、セバスチャンはポップス出身。そしてカルロス、デイヴィッド、ウルスはクラシック出身で、オペラやミュージカルで主役を務めていたほどの実力の持ち主です。そんな彼らのキャリアがバランスよく組み合わさったのがイル・ディーヴォ。まさに、奇跡のグループなんです」
日本では、特に40~60代の女性を中心に根強い人気を誇ってきた彼らだが、昨年秋にNHK東日本大震災復興支援ソング『花は咲く~FLOWERS WILL BLOOM』を歌ったことで、さらに日本のファン層が広がった。その人気を村岡さんはこう分析する。
「彼らの音楽は、『クラシカル・クロスオーバー』と呼ばれるものですが、クラシックやポップスの名曲を高い歌唱力で歌いあげている。その美しいハーモニーが、本物志向の強い日本の大人の観客にウケているのだと思います」
ファン歴8年、50代の主婦・ゆかりさんはこう話す。
「まさか海外にまで行くとは考えもしませんでした。イル・ディーヴォに出会う前は、家を2週間も空けたことなんて一度もありません。
2007年の来日公演の時、たまたま席が隣同士になった人とお友達になり意気投合。次の来日公演が未定だったので、彼らに会いたくて4人で、2012年にロンドンで行われたコンサートに行くことにしたんです」
ロンドンまでの航空運賃10万円に14日間の宿泊料金ん十万円。メンバーたちと写真が撮れるミート&グリート付きの特別席チケットは約3万円…。ロンドンでの公演を2回、ブライトンでの公演を1回観覧するための費用は、総額30万円以上! しかも、家族を置いての2週間の大旅行。果たして家族は許してくれるか不安だったという。
「社会人になっている子供たちに思い切って話すと、“たまにはいいんじゃない”と許してくれました。でも問題は夫です。まずは彼らの魅力をわかってもらおうと、夫をコンサートへ連れて行きました。最初は、女性の多さに圧倒されていましたが、彼らのパフォーマンスが素晴らしかったので、“なるほど、夢中になるのもわかる”と言って、ロンドン行きも許してくれたんです。まさに奇跡!
2週間の間、会社勤めでもともと残業が多い主人は、外食も多いため、食事はどうにかなると思いましたが、問題は服選び。いつも私が揃えた服を着ている夫のために、シャツやネクタイなど着替えを14セット作って、きれいに並べておきました。お陰で心おきなく楽しめ、夢のような2週間でした」(ゆかりさん)
今回は、家の事情でコンサートに行けないというゆかりさんだが、「日本に彼らがいると思うだけで幸せなんです」と、今日もCDを聴きながら家事を頑張っている。
「50代で振袖なんて、日本ではありえない! でも、イル・ディーヴォに会うためならば、着ちゃいますよ」
と、語るのは50代の主婦・ひでみさん。彼女もゆかりさんとともにロンドンに出かけたひとりだ。
「彼らに会えると思うだけで、乙女の気持ちになるんです。公演がない日はみんなでディーヴォの話をしていると話が尽きなくて」(ひでみさん)
ロンドン滞在中は、メンバーが住むという高級住宅地・チェルシーを散策して、“会えるかも”と密かに期待していたという。マドンナやマイケル・ジャクソン並みのスーパースターなのに、メンバーたちは気さくで、街角で出会うと、気軽にサインや握手、撮影に応じてくれる。
「だから、来日中はメンバーが行きそうなところをウロウロしてしまうんです。ファンからは“聖地”と呼ばれる山野楽器銀座本店(東京・銀座)に行ったり、定宿と噂されている高級ホテルのロビーでお茶したり。
以前、シークレットイベントのチケットが外れた時は、とにかく彼らの近くにいたいと、会場の外に立っていたんです。そしたら、音が漏れ聞こえてきて…。“この扉の向こうにウルスやデイヴィッドがいる”と思ったら涙が出ました」(ひでみさん)
※女性セブン2014年3月20日号