国内

被災地の書店 震災直後に解雇した店員を再雇用し再建目指す

 東日本大震災から3年が経った。今、被災地はどうなっているのだろうか。

 釜石市大只越のプレハブ仮設店舗の一角にある「桑畑書店」。昭和10年に創業し、震災前は市内最大規模の、地域の文化発信地だった。

 しかし、津波で店舗と在庫約5万冊、自宅などを失い、3代目店主の桑畑眞一さん(60才)の被害額は1億円近くになった。

 桑畑さんは震災直後、瓦礫の中から水浸しになった顧客台帳の一部を見つけ、自転車で約500軒のお客さんを訪ねて配達の注文を取った。震災1か月後に早くも新事務所を借り、2011年11月、仮設店舗に現店舗をオープンした。

「今は店舗面積が8分の1になり、売り上げも8分の1です。正直、経営は苦しい。昔の店舗を再建したいけど、そこは大潮時に海水が浸水する状況のため、行政による土地のかさ上げ工事が終わるまではとても無理。店舗再建のめどは全く立っていません」(桑畑さん)

 現在、店舗近くの仮設住宅で暮らす桑畑さん。震災直後に泣く泣く解雇したスタッフ3人を、「路頭に迷わせるわけにはいかない」(桑畑さん)と再雇用し、朝から晩まで身を粉にして働く。

「目の前のひとつひとつに手一杯の3年でした。それでも町を歩くと、『早く昔のような店を出してよ』と声をかけられます。今は歯を食いしばり、一歩一歩着実に頑張るしかない。その先に店舗の再建があるはずです」(桑畑さん)

 希望の灯を消すわけにいかない。桑畑さんはそう誓う。

※女性セブン2014年3月20日号

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