千葉県柏市で起きた連続通り魔事件の竹井聖寿(せいじゅ)容疑者(24才)は、ネットで尊敬する人として、神戸連続児童殺傷事件(1997年)の「酒鬼薔薇聖斗」の名前を挙げていた。しかし、この通り魔犯だけではなく、数多くの犯人たちも、彼への憧れを口にしている。
なぜ、彼らはこうも酒鬼薔薇に憧れるのか。精神科医の和田秀樹氏は、その背景として、格差社会とネット文化を指摘する。
「現代の格差社会において、竹井容疑者のような無職や非正規社員の人たちは、現実に背を向けてネットの世界に逃げ込みやすい。鬱屈した彼らの中には、社会への恨みを抱く一方で、“おれだってデカいことができるんだ!”という自己顕示欲が人一倍強い人が出てきてしまうんです」
そうして、いつしかネット住人の中に“殺人”という手段で世間の注目を集めて自分を認めてもらおうとする過激な人間が出てきた。
そんな彼らにとって、最も記憶に残る、センセーショナルな殺人犯というのが――
「酒鬼薔薇なんです。竹井容疑者も含め、酒鬼薔薇を崇拝する人々は、皆、小さい頃にあの事件をテレビで見て、日本中が騒然となった様子を肌で感じた世代です。彼らにとって酒鬼薔薇は“時代の寵児”なんです。
同じ凶悪殺人犯でも大阪の宅間守死刑囚(2004年執行)や秋葉原の加藤智大被告が崇拝の対象になることが少ないのは、少年ではないうえ、名前も写真も公表されているからでしょう。
酒鬼薔薇は若い世代にとって猟奇殺人の“元祖”なうえ、本名も顔写真も公開されておらず、そのことが彼らにとって、ある種の“神秘性”を感じさせる結果になってしまったのでしょう」(前出・和田氏)
※女性セブン2014年3月27日号