先日、女優の広末涼子に9歳年下の俳優・佐藤健との不倫情報が登場し、驚きの声があがった。彼女の場合、既婚者であることは周知の事実だが、浮気する際に婚姻状態を隠すことはよくある話。妻に浮気が発覚し、妻が浮気相手に慰謝料を請求した場合について、弁護士の竹下正己氏はこう回答している。
【質問】
自分が独身だと偽り、交際が始まった独身女性との関係がバレてしまい、妻が彼女に多額の慰謝料を請求しています。しかし、浮気は事実ですが、そもそも私の嘘から始まったことでもあり、彼女に罪はないように思われます。それでも彼女は妻に慰謝料を払わなければいけないのでしょうか。
【回答】
「(不倫をした)第三者は、故意または過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある」というのが最高裁の判断です。
相手の女性が不貞をしていることを知っていたか(故意)、知らなかったことに過失があれば、奥さんに対する不法行為をしたことになり、慰謝料を支払わなければなりません。
あなたは、独身とだましたのですから、彼女に故意はありません。しかし普通の人なら、妻帯者と怪しむのに気が付かなかったとすれば、過失が認められる可能性があります。その場合には慰謝料支払義務を免れません。
過失の有無は交際の実態で判断されます。交際中、男性の婚姻の事実を知らなかったが、妻から抗議の電話をもらった後、男性の離婚届を渡したとの言葉を信じて関係を継続した女性の不法行為責任を認めた例があります。この事件では戸籍を確認するなどの方法で、本当に離婚したか調べられるのに、嘘をついていた男性の言葉を安易に信じた点に過失があったと判断されました。
一方で、あなたは、彼女をだまして、性的関係を持ったのですから、彼女に対する不法行為をしたことになり、奥さんが彼女に慰謝料請求すれば、逆にあなたが彼女から慰謝料を請求されるでしょう。
奥さんへは、慰謝料請求がぐるぐるまわりかねないので思いとどまってもらい、彼女が請求してきたときの対抗手段にとっておくよう説得してはいかがですか。いずれにせよ、彼女の過失が前提になるので、奥さんに協力すれば彼女への裏切りになります。つらい立場ですが、身から出た錆です。
※週刊ポスト2014年3月21日号