夫婦合わせて164才というベテラン現役産婦人科医の堀口貞夫さん(81才)と雅子さん(83才)夫妻が『お医者さん夫婦のカラダにやさしい長生き養生訓56』(マガジンハウス)を上梓した。
にこにこと穏やかに話す貞夫さんと、その夫を立てながら明るくハキハキと話す妻の雅子さん。80代にして、現役医師として活躍するふたりを取材中、たびたび電話が鳴った。お産の相談の電話だ。
「お産に関する妊婦さんの心配って朝昼晩関係ないでしょう? 私たちが持つ知識が役立てばうれしいですから、“夜討ち朝駆けでいいよ”って友達や知人の相談に応じてあげるの。人から頼られるってうれしいことだし、ひとつの生きがいでもあるでしょう? それに、どんどん医学は進歩しますから、経験があるからって甘んじていちゃいけないですよね」(雅子さん)
半世紀以上もの間、産婦人科の第一線で働き続けてきた堀口夫妻。夫妻は数えきれないほどの人をこの世に誕生させてきた。貞夫さんはかつて、年間1800件近くものお産を手がけたこともあるという。
本書では、料理、健康、運動、夫婦、子育て、仕事とテーマごとに、夫婦で楽しく長生きするためのヒントを夫婦の対話形式で紹介している。とりわけ健康維持に役立っているのが、2009年から始めた『フェルデンクライス』という物理学者が考案した体操だ。
太極拳に似たゆったりとした動作で、脳を活性化し、神経系を通して心身の緊張を解き、質の高い動きと機能を身につけていくもの。妊婦の腰痛や肩こりの解消のほか、ロコモ症候群の予防にも効果があるだろうという。雅子さんは一昨年の胸椎の圧迫骨折の改善にも効果を実感した。
「骨が潰れたために神経が圧迫され痛みますし、筋肉も弱り背中が丸くなり5cm身長が低くなりました。筋肉を丈夫にし姿勢をよくすると、圧迫された神経の痛みが少しラクになるんです。この前の大雪の時も、83才で雪かきやりましたもの(笑い)。けがして1年経った去年は、スキーも滑ったのよ」(雅子さん)
「この体操をやると、バランスを取れるようにもなります。いざって時に、瞬間的に必要な神経回路が選択されて体がポーンと動くようになるの。年に1度のスキーでも役立っていますよ」(貞夫さん)
毎朝起きると、ベッドの上でこの体操を行うのが習慣。この運動のたまものなのか、確かにふたりとも頭の回転が速く、質問に対しすぐに答えが返ってくる。
「いつもこの回路を使ってるってことだから、もしかするとボケは遅いかもしれない。神経と筋肉のつながりをさびさせないようにするために、この体操は本当にいいと思う」(貞夫さん)
※女性セブン2014年3月20日号