コンビニで「希少糖」を使ったスイーツ戦争が勃発している。「甘さ控えめ低カロリー」だけがウリじゃない。生活習慣病対策にも効果的といわれるのだ。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。
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「希少糖」を使ったスイーツがコンビニを中心にブレイクの兆しを見せている……。が、まだ「希少糖」自体よく知られていないのに、新聞やテレビの情報番組などで「希少糖スイーツが人気に」と言われるのも、少々不思議ではある。
そもそも「希少糖」とは何か。国際希少糖学会の本部も置かれる、香川大学の希少糖研究センターは「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義している。これまで比較的知られていたのは、「虫歯にならない」と謳われたガムに含まれているキシリトールや、カロリーゼロのエリスリトールくらいだった。
つまり本来、「希少」という文字通りの意味だった。ところがいまから約20年前、その「希少糖」にとって劇的なフェーズの転換が起きた。どこにでもある果糖(D-フラクトース)を希少糖(D-プシコース)にする酵素が発見されたのだ。
しかもこの「D-プシコース」、当初は「甘みがやや控えめでローカロリー」という程度の認識だったが、研究が進むにつれて生活習慣病対策に役立つ可能性が高くなってきた。抗酸化作用に加えて「食後血糖値上昇抑制効果」「インスリン上昇抑制効果」「抗肥満効果」「動脈硬化抑制効果」「内臓脂肪低減効果」などの作用が明らかになってきたのだ。生活習慣病予備軍はもちろん、単なるスイーツ好きにとっても朗報に違いない。
今年、各コンビニチェーンが続々と「希少糖入り」商品を販売しはじめた。1月、ローソンは甘味料の50%が希少糖シロップという「希少糖入りソイラテ」を大々的に展開。240mlで90kcalというローカロリーで話題となった。今月も「グレープフルーツとヨーグルトブランマンジェ(希少糖入り)」や希少糖入り菓子パンなど、希少糖関連商品を発売している。
その他コンビニでも、サークルKサンクスが1月にシュークリーム「ぷにもちシュー(ミルク)~希少糖入り~」や「トルテケーキ チーズタルト(希少糖入り)」、「生チョコケーキ(希少糖入り)」などを展開。ミニストップも「ビタミン果実のパフェ」「オレンジショートケーキ希少糖入り」といったスイーツを展開しはじめた。
実はこの3社は、昨年大ブレイクした「コンビニカフェ」でも先行組として意欲的に取り組んだチェーンでもある。「先見の明」再びとなるか。
ちなみに希少糖のお膝元、香川県丸亀市の学校給食センターでは、既に希少糖を使用した給食を市内の幼稚園、小学校、中学校の給食で使用しており、3月29、30日には、国内初の希少糖フェア「かがわ希少糖フェア」が行われる。まさか「うどん県」に続き、「希少糖県」も狙っているなんてことは……。