横浜市小学校への無差別殺人、伊勢神宮の爆破。そして、それらテロ予告とは無関係な市民4人の誤認逮捕。日本中を騒がせ、警察当局の権威を失墜させた「PC遠隔操作事件」の公判が、2月12日に始まった。公判では検察と真っ向から対立して無罪を主張する片山祐輔被告(31)に、ジャーナリスト・青木理氏が週刊ポスト2014年3月28日号でインタビューしている。
青木氏の「拘置所では何を?」の問いに片山被告はこう答えた。
「読書と、あとはパズルを解いたり。本は500冊ぐらい読みました。東野圭吾さんのミステリー小説とか、ビジネス本や漫画も。特に今後の生き方、どうやって生活していくかがすごく心配だったので、起業に関する本なども差し入れてもらって……」
片山被告は3月5日に保釈された。逮捕は昨年2月10日だったから、勾留は389日に達したことになる。同被告が青木氏の単独インタビューに応じたのは、保釈後間もない3月7日である。
片山被告は「私は犯人じゃない」と訴えた。警察捜査を強く批判し、メディアへの不満も露にした。
事件の真相は何だというのか。片山被告は、自分のPCも真犯人に遠隔操作されていた、と主張する。そもそも、今回の重大証拠とされたのは、江の島の猫の首輪に記憶媒体がついていたことと、東京都最高峰の「雲取山」の山頂にUSBメモリーを埋めたことだ。片山被告が両方の場所に行っていたからこそ、警察は実際に首輪をつけた者と埋めた者を結びつけたのだ。片山被告はこう語ったという。
「江の島も雲取山も、何日も前からネットで下調べしていました。特に雲取山は一か月以上前から山関係のサイトを見ていましたから、私のPCの画面監視ができる状態だったら悪用するのは可能だと思います。っていうか、それしか考えられないんです」
こうして片山被告は自身も「真犯人」による冤罪の被害者だと説明したようだ。