『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が3月いっぱいで終了し、4月からは新番組『バイキング』(月~金、11時55分~)がスタートする。『いいとも』は全盛期と比べればたしかに視聴率は下降気味だったが、2013年も民放同時間帯で視聴率1位だっただけに、終了に疑問の声も上がっている。テレビ局関係者はこう話す。
「2月辺りから、タモリさんにスポットを当てるコーナーを始め、数字が上がってきた。もちろん終了へ向けての名残惜しい気持ちから視聴者が増えたという見方もできますが、番組が面白くなかったら数字が上がるはずはありません。視聴者は正直ですからね。要するに、内容が良くなったのです。
もしかしたら、昨年7月に新書『タモリ論』が発売された頃に、もっとタモリさんにスポットを当てるコーナーをやっていれば、『いいとも』が終わることもなかったかもしれない。『タモリ論』はすぐにベストセラーになったし、タモリというタレントの需要は当時も今も確実にある。スタッフは、それを見極められなかった。
『タモリ論』が売れまくっていたのに、『いいとも』でのタモリさんの出番は減っていき、タモリさん自身がクローズアップされる企画はなかったですからね。そのとき、既に終了が決定していた可能性がないとはいえませんが、実際はもう少し後に決まったはずです」
バラエティ番組の面白さは司会者に委ねられる側面もあるが、当然ながら制作サイドの力によるところは大きい。ある放送作家は、『いいとも』の制作について、こう話す。
「ずっと同じ番組に携わっていると、レギュラー陣が本来持つ良さとかタレント性を忘れがちになってしまいます。そこにいることが当たり前に感じてしまうのです。『いいとも』であれば、タモリさんがいるのが日常。マンネリを防ぐために、作家陣の入れ替えは結構あるのですが、『タモリさんを全面に推し出す』という企画は上がらなかったんでしょうね。
こんな話を聞いたことがあります。『いいとも』に入った作家は、まず『いいとも選手権』の企画出しから始まる。それが、いくつか通るかが評価に大きく関わってくるといいます。最後の1分くらいのコーナーで、視聴者からすれば、正直あってもなくても、大差ない。番組が長くなると、視野が狭まってしまい、自分たちのなかでよくわからない基準ができることって、確かにあります。それにしても、あまりにも本末転倒だなと感じました」